<J2:仙台2-1岐阜>◇第36節◇30日◇ユアスタ

 スーパーサブがまた救った。引き分け以下で4位後退だった2位仙台が、11位岐阜に2-1で逆転勝ち。後半ロスタイム、途中出場のFW中原貴之(24)が劇的な決勝ゴールを奪い、2位を守った。中原はプロ7年目で自己最多の7点目をマーク。クラブも、苦手の8月を過去最高の4勝目を挙げて締めくくり、秋の昇格戦線へ弾みをつけた。

 ゴールの予感がした。後半ロスタイム、2分が経過した時だ。DF朴が左サイドで球を持ち、ゴール前に中原がいる。すかさず朴が上げたクロスは、DF2人の背後から中央に飛び込んだ中原の頭をとらえた。ゴール左隅に、今季2度目のロスタイム決勝弾。中原は「ホッとした。うれしかった。(後半16分の投入後)2度もチャンスを外していたし、何が何でも決めたかった」と振り返った。

 J2通算100試合出場の節目に自己最多7点目をマークした。その7発すべてを途中出場で奪ったスーパーサブ。最近8戦5発と好調でもベンチスタートなのは、指揮官から「後半からの中原は抜群。今、中原が得点できてチームも勝てるプランは『スーパーサブ』しかない」と期待されるからだ。中原も「途中から出るから役割がハッキリしてる。割り切ってプレーできている」と納得顔だ。

 苦手の夏場も克服した。昨季未勝利の8月、今季は4勝1分け1敗。99年のJ加盟後、4勝も勝率66・7%も、ベガルタの8月最高成績だ。手倉森監督は「昨季の悔しさを選手全員が意識している」と分析。中原も、その1人だ。発汗量が多く試合後は3~4キロ体重が減るため、管理栄養士に相談。試合当日、スポーツドリンクに塩を入れて飲む習慣をつけ、夏場対策はバッチリだ。各選手が昨季の悔しさを糧にし、例年は失速する夏に打ち勝った。

 上位がすべて勝ち、引き分け以下で昇格圏外に転がり落ちる危機から救った中原。ホーム戦15試合連続負けなしのタイ記録にも導いた立役者は「これからも結果を出して、信頼を勝ち取りたい」。ベガルタには最高の切り札がある。【木下淳】