<J1:川崎F3-2大宮>◇第29節◇17日◇埼玉

 両軍合計PK4本に加え、「内輪もめ」を乗り越えて川崎Fが3連勝で暫定首位に浮上した。前半13分にFW鄭が倒されて得たPKを、FWジュニーニョが失敗。鄭は同36分に再びPKを獲得すると、指を2本立て胸をたたく。「1本目は任せたけど、2点目は強く主張した」。自分が蹴ると言い張り、譲らなかった。

 鄭は仲裁に入ったMF谷口を払いのけ、ジュニーニョも、なだめるMF中村を制し一触即発の状況。そんな中、今度は鄭もPKを失敗してしまった。ロスタイムには大宮にPKを与え1点差とされたが、その1分20秒後「おとぎ話の世界かと…。アンビリーバブル」とへこんでいた鄭が、勝ち越し弾を決めた。

 前半終了後のロッカールームでは、選手から自然と「バラバラになるのは簡単。まとまるのが大事」と声が出て、2人とも気を取り直した。すると後半19分に鄭が、ジュニーニョのパスから、この日2点目。鄭は「ジュニへの申し訳ない気持ちの表れ。あいつに得点王も取ってほしい」と話した。

 オレンジがチームカラーの大宮、清水、新潟とのアウェー戦は、過去1勝3分け11敗だったが、06年8月26日に大宮に5-1で勝って以来、3年2カ月ぶりに勝利。関塚監督も「3年ぶりに勝った」と絞り出すように言った。【村上幸将】