【グアム8日=永野高輔】ゴンに続きキリノも復活した。コンサドーレ札幌グアムキャンプ20日目のこの日、左ふくらはぎの張りで7日まで10日間別メニューで調整していたFWキリノ(25)が、完全合流を果たした。午後の攻撃の戦術練習では、7日に合流したばかりのFW中山雅史(42)と初の2トップも結成した。2人が欠場した練習試合2戦は、流れからの得点がない。開幕戦で組む可能性もある「ゴンキリコンビ」がそろい、攻撃陣に厚みが出てきた。

 札幌の昨季チーム得点王と、日本のカリスマが融合した。午後の攻撃練習、石崎監督は2トップに完全合流したばかりのキリノと中山を、いきなり同時起用した。初テストではあったが、2人の相性を感じさせるシーンが随所に出た。

 中山からの縦パスを受けたキリノがキープして左サイドに展開する崩し。キリノからDF裏に抜けた中山にパスが出てのシュートもあった。約30分と時間も短く、指揮官は「もう少しお互いが見られるようになれば良くなるが」と言うにとどめたが、キリノは中山の動きを「経験がありポジショニングもうまい。総合的にすごい人だった」と絶賛した。

 待ちに待った合流だった。28日まで全体メニューをこなしていたキリノだったが、初実戦となった大宮戦直前の29日、左ふくらはぎを痛めて別メニュー調整となった。軽症のはずが状態は上がらず、10日間まともにボールも蹴られず、ランニングや水泳などのメニューをこなす日が続いた。

 戦術練習に参加できないもどかしさは、メールで送られてくる生後6カ月の長女エロアちゃんの動画を見てまぎらわしてきた。苦しい日々を乗り越えた末の合流初日。いきなり尊敬する中山と2トップで起用されたことで、テンションはさらに高まった。

 昨季はキリノの1トップがベースだったが、今季は近藤、内村、中山のFW3選手を補強し、石崎監督も原則2トップへの移行を目指している。昨季チーム得点王の相棒が誰になるかが、課題の得点力増の大きなポイントになる。初めて組みながら十分な手応えを得た「ゴンキリ2トップ」が開幕スタメンになる可能性も出てきた。

 「誰が出るかは分からないが、(開幕の)3月7日は最低でも2点取りたい」とキリノは強気に言った。中山とキリノ不在だった2度の練習試合では、流れからの得点はない。グアムでのエースの復活は、何よりの朗報となった。