<ナビスコ杯:磐田5-3広島>◇決勝◇3日◇国立

 ジュビロ磐田が優勝したぞ!

 広島に1度は逆転を許したが、後半44分にFW前田遼一(29)が同点にすると、延長戦で3点を奪った。最後はGK川口能活(35)がPKを止めた瞬間に試合終了の笛が鳴る幕切れで同杯12年ぶり、7年ぶり3大タイトルを手にした。リーグ戦開幕直後には最下位に沈み、タイトルから遠ざかる間に入れ替え戦を経験したのは2年前だった。名門復活ののろしが上がった。

 伏兵たちの怒とうのゴールが、サックスブルーに染まったスタンドを揺らした。延長前半12分、MF上田の左CKをMF那須が頭でそらした。角度が変わって流れたボールを、ゴール前の菅沼が左足できっちり合わせた。後半15分から投入されて、ありあまった元気が爆発。逆転を許しながら土壇場に前田のゴールで追いつき、勢いづいたチームを最高潮に盛り上げた。揺れるスタンドに向かって、ほえた。

 その2分後には、山崎の右足がうなりを上げる。前田からボールを受けると、そのままドリブルで「ギュンギュン」いった。勢いに乗って振り抜いた右足からゴール左へ突き刺した。事実上の決勝ゴールは直前のプレーで痛めた右足から生まれた。「けがしたことがよかったのかな」。山崎はおどけて見せたが、準決勝第2戦でプロ初ゴールとなる決勝ゴールに続く連発で「ヤマザキ」の名前を国立に響かせた。やっぱり、ヤマザキナビスコ杯だぜ~。

 幕切れを飾ったのは守護神だった。終了間際にPKを献上。キッカーはこの日FKを決められている広島DF槙野。GK川口は「同じ相手に2度決められたくなかった。絶対止めないといけない。あそこで止めなければ、オレがいる意味がない」。読みではなく、気持ちで食い止めた。守護神のガッツポーズが試合終了の合図だった。

 7年ぶりの栄冠の裏には、栄光からどん底への苦悩の歴史があった。02年にリーグ完全優勝。03年度に天皇杯を制してから、大きな試練が待っていた。04年以降、リーグでは年々順位を落とすかのような状況で、目先の結果を求めてシーズン途中に監督交代。08年には16位で入れ替え戦にまで突入した。常勝時代のことは忘れられ、順位は下位が定位置。今季も開幕4戦目で最下位に沈んだ。ライバルと言われた鹿島がリーグ3連覇に輝く間に、もがき苦しんだ。

 その時代を知るMF西が、右ひざの古傷を抱えながら120分間動き続けた。「80分くらいで足がつっていた」と話すベテラン選手の激走に、足を止める選手がいるはずがない。最後までピッチに残り低迷期に終止符を打った。それでも西は「単発で終わってはいけない。ちゃんとしたチームになれるようにしないと」と気を緩めなかった。

 試合には、選手・スタッフ、チーム関係者が駆けつけた。長期離脱のDF駒野、加賀に加えて韓国に帰国中だったDFパクまで前日に来日。後押しを受けた選手は喜びを分かち合った。しかしナビスコ杯は終わった。残るリーグ戦は現在11位だが、6戦連続負けなしで上位進出に望みを残す。「勝つことで自信をつけている」と柳下監督。磐田にとって新時代の幕開けとなる勝利に違いない。【栗田成芳】