<J2:柏3-0岐阜>◇第33節◇7日◇柏

 柏が1シーズンでのJ1復帰を決めた。引き分け以上で昇格が決定する岐阜戦は、FW北嶋秀朗(32)の先制点などで3-0と快勝。勝ち点72とし、4試合を残して3位以内が確定した。開幕から19戦負けなしのJ新記録を樹立するなど、ここまでわずか2敗と抜群の安定感を発揮した。2位との勝ち点差は7で、最短で20日に優勝が決まる。

 試合終了のホイッスルが鳴り、北嶋が勢いよくベンチを飛び出した。夕日に輝くピッチで、FW林と固く抱き合った。先制点をたたき出した2人が、ホームの大声援の中でお互いをたたえ合った。

 J2降格から1年。若手とベテランが融合した勝利だった。引いて守る相手を、北嶋が打ち砕いた。後半12分、ゴール前のMFレアンドロの右足FKから、林が頭で折り返したボールをねじ込んだ。直後は林のゴールとアナウンスされたが、その後訂正された。「林、ごめん。絶対に勝って昇格を決めたかった。サポーターと一緒に喜べてうれしい」と、笑顔がはじけた。

 今季の北嶋は10代、20代前半の若手FW陣に圧倒され、8月まで6試合無得点。それでも「この状況に負けたくない。自分からチャンスを作り出す」と、練習試合で2試合連続のハットトリックを達成。戦う姿勢をアピールし続けた。そして9月19日の千葉戦で今季初得点を決めると、以後8試合連続でスタメン出場を勝ち取った。

 今季からチームキャプテンとして引っ張ってきた。「キャプテンらしいことはしていない」と、謙遜(けんそん)するが、後輩の目にはしっかり映っていた。2トップを組む林は「練習から100%以上の力でファイトしてる。試合に出れなくても、その背中に学ぶことがあった」と明かす。

 降格しても今季は主力のほとんどがチームに残った。そこに若手FW陣が合流し、切磋琢磨(せっさたくま)することで、いい緊張感が生まれた。この日2点目を決めたMF大谷は「全員で責任を感じて、昇格を決められたことが大きい」と振り返った。安定感は、J2で群を抜いていた。

 最終目標は、まだ先にある。「これからも勝ってJ2優勝して、J1に殴り込みに行きます」。北嶋の宣言が、チームの思いを代弁した。【保坂恭子】