<プレナスなでしこリーグ:仙台1-5INAC神戸>◇第6節◇27日◇宮城スタジアム

 女王の壁は、あまりにも厚かった。仙台レディースがINAC神戸に敗れ、昨季からのリーグ戦無敗記録は27試合で止まった。前半だけで3点を失うなど守備が崩壊。後半37分にMF嘉数飛鳥(24)が1点を返すのがやっとだった。試合序盤にFW伊藤美菜子(26)が負傷するなどケガ人が続出する中、DF佐々木繭(20)とMF井上綾香(18)のルーキー2人が輝きを放った。

 味わったことのない圧力に耐えきれなかった。序盤から完全にボールを支配され防戦一方。高い位置を保つはずだったDFラインはズルズルと下がり、終わってみれば昨季から通じても最多の5失点。千葉監督は「試合前は戦えるかと思ったが、すべてにおいてレベルの違いを感じた」と脱帽するしかなかった。

 伊藤の負傷退場も響いた。攻守にわたって90分間走り続けるエースが、右膝を痛めて前半14分で交代。嘉数が「美菜子さんの存在は大きくて、欠けたのは痛かった」と言うように、前線からのプレスが機能しなかった。後半途中からは、センターバックの坂井を最前線に移して反撃の姿勢を見せたが及ばず。右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の小山に続くFWの離脱に、監督は「今いる選手でやるしかない」と頭を抱えた。

 試合後、左サイドバックの佐々木は涙をこらえきれなかった。先発2試合目で、なでしこジャパンFW川澄とマッチアップ。「嫌なポジションを取ってきて、何度もクロスを上げられてしまった」と悔やんだが、粘り強く突破を食い止めた。監督から日本代表ドリブラー封じを託された20歳は「これからのサッカー人生に役立つ、貴重な試合だった」と前を向いた。

 井上は抜群のスピードを見せつけた。伊藤の負傷で急きょ出場したが「とにかく縦に仕掛けようと思った」とエンジン全開。右サイドでDF2人を抜き去って唯一の得点をアシストした。監督の指導や自主練習の成果で球際での強さも増し「特徴が通用した。次は勝ちたい」と手応えをつかんだ。INAC神戸との対戦は、今季カップ戦を含めて3回残っている。屈辱の大敗から得た収穫を胸に、女王にリベンジしてみせる。【鹿野雄太】