JFLの藤枝MYFCはあす9月1日、天皇杯1回戦で関西社会人1部のアルテリーヴォ和歌山と対戦する。県予選準決勝と決勝で出場したMF石井俊也(35)は抜群の安定感でゲームをコントロールし、本大会初出場に大きく貢献。Jクラブ4チームでプレーした経験を持つベテランが中盤でかじを取り、チームを初戦突破に導く。

 藤枝MYFCのベテランMFがいぶし銀の活躍を見せた。石井は本大会出場をかけた県予選準決勝で負傷交代したDF奈良林寛紀(25)に代わって途中出場。「中盤を締め直すことを意識した」と、積極的にボールを受けてリズムを作った。

 チームは逆転勝利し、決勝でも攻守でチームに貢献。予選免除で天皇杯への出場権が与えられるJクラブ所属時と比べ「こんなに苦労しなければ出場できないことを知った。また出られることは本当にうれしい」と素直な気持ちを明かした。

 石井は静岡学園を卒業後、J1浦和に入団。その後は仙台やJ2京都、熊本と4クラブでプレーした。J通算298試合に出場。天皇杯も12試合出場している。今年で35歳になるが、安定したプレーは健在だ。第一線で活躍するためには「しっかり食べてしっかり休むこと」と話す。プレーする場がプロからアマチュアに移っても、決して妥協することはなく「プロの時からそれは体に染み付いている」。石井の全力プレーは若手の手本にもなっている。

 斉藤俊秀兼任監督(40)も「県予選では存在を証明してくれた」と健在ぶりに目を細めた。本大会でも出場は確実でチームにとって欠かせない存在だ。格下との一戦となるが、石井は「相手は必死になってプレーしてくる。リスペクトして戦わなければ食われる」と表情を引き締めた。

 初戦を突破すれば、2回戦の相手はJ1清水。石井は「天皇杯はカテゴリーは関係なく、本当のナンバーワンを決める大会。どんな内容でも必ず勝って帰ってきたい」と目の前の試合に集中した。百戦錬磨のベテランがチームに本大会初勝利をもたらす。【神谷亮磨】

 ◆石井俊也(いしい・としや)1978年(昭53)1月19日、藤枝市生まれ。静岡学園卒業後、96年にJ1浦和入団。98年には五輪日本代表候補に選出される。その後は仙台、J2京都、熊本と移籍し、10年から藤枝MYFCに所属。173センチ、73キロ。血液型B。