<J1:甲府1-2仙台>◇第25節◇11日◇中銀スタ

 東日本大震災からちょうど半年、仙台が復興への花火を打ち上げた。甲府を下し6位に浮上。後半10分、FW太田吉彰(28)が体ごと突っ込み先制した。さらに同34分、FW赤嶺真吾(27)が3戦連発で今季10得点目となる追加点。4カ月ぶりの連勝で4戦連続負けなしとなった。

 仙台が熱く光った。復興への希望の光。震災から半年がたっても、ともすことを止めていない。後半10分、まさに電光石火のカウンター。自陣で奪ったボールをMF関口が高速ドリブルで運び、右サイドをフリーで走るMF梁へ出す。その時、既にゴールへの青写真は見えていた。逆サイドからFW太田が鬼の形相でゴール前に突っ込んでくる。「僕は身長がない。ニアに入っていくしかなかった」。ケガをも恐れぬ勢いを見た梁は、太田を目がけて強いグラウンダーのクロスを送った。体ごと投げ出し右足で先制。被災地に届けと言わんばかりに、ゴールしたボールをもう1度、思いっきり蹴り込んだ。

 節目の日。エースストライカーも黙ってはいない。同34分、DF田村の右クロスにFW赤嶺が頭でどんぴしゃりと合わせ追加点。3戦連発、目標の2ケタ得点を決め「シーズン当初の目標を達成して良かった」と素直に喜んだ。震災直後から得点を積み重ねてきた。「テレビなどで震災の話題が少なくなってきた。でも忘れてはいけない。いろんな人の思いを背負って戦っている。1つでも勝利を届けたい」と表情を緩めなかった。

 攻守で勝利に貢献した関口は震災直後に作った「メッセージ入りスパイク」を、この日は前半で履いた。新品の同スパイクが届いておらず皮が伸びているが「原発で働いている人や大変な人がたくさんいる。僕らはサッカーをやることしかできないから」と、思いを込めた足でピッチを駆け回った。

 試合後、手倉森監督は「希望の光」と口にした。震災直後からの合言葉。「被災地東北に年末まで明るい話題を届けなければ」と使命感に燃え、再浮上へののろしを上げた。【三須一紀】