【グアム(米国)30日=永野高輔】左足首痛で別メニュー調整だった札幌MF古田寛幸(20)が、2週間ぶりに完全合流した。17日の札幌ドーム調整で離脱。グアム合宿では初の全体メニュー参加となった。昨季の同合宿は右足腓骨(ひこつ)筋腱(けん)痛のため、全体練習に参加したのはわずか2日間。早期復帰を果たした今回は、残り9日間でばっちりJ1モードの肉体をつくり上げる。

 役者が1人、戻ってきた。この日の6対6の戦術練習で、古田は本職の右MF、ボランチと2ポジションに入ってプレー。石崎サッカーの守備スタイル再確認に励んだ。もう不安はない。「遅れた分を取り返さないと。しっかり調子を上げていって、みんなについていかないと」。指揮官の目の前で、キレのあるターンとドリブル突破を披露するなど猛アピールした。

 初めて臨むJ1。熱い思いがある。「J1でどこまで自分がやれるか楽しみでもあるし、そのために準備をしなければならない」。はやる気持ちから、5日の自主トレ中に左足首を痛めた。16日の札幌ドームでの始動には参加したが、翌17日に違和感を訴え離脱。28日に部分合流したものの、前日29日はあえて大事を取って完全合流を見合わせた。我慢の13日を経て、ようやく合流にこぎつけた。

 苦い経験も生かしていく。昨年は2月末に右太もも裏の張りを訴え、3月5日の開幕愛媛戦出場を断念した。「あの時のこともあるから、焦らずに仕上げたい。グアムではフィジカルをしっかりつくりたい」。合宿ではDF岩沼、GK曵地、李と同部屋で、練習後はサッカー談議にふける。真面目で考えすぎる性格。思い詰めて昨季途中には一時スランプに陥った。気晴らしに漫画「HUNTER×HUNTER」を読むなど、時間の使い方にメリハリをつけ、リラックスすることを覚えた。

 ライバルにも負けられない。昨年12月3日の最終東京戦でFW内村の2点に絡むなど攻撃の要に成長したが、今季のサイドハーフは最激戦区。昨季チームを支えたFW近藤、MF岡本、砂川ら既存戦力だけでなく、J1から山本、前田、高柳らの新戦力が加わった。「前のポジションはより競争が厳しくなる。でも負けたくない」。2年ぶり開幕スタメンへ、背番号15が静かに闘志を燃やしている。