<J1:鳥栖0-0C大阪>◇第1節◇10日◇ベアスタ

 J1初昇格の鳥栖が、タレント軍団のC大阪との開幕カードを引き分け、価値ある勝ち点1を挙げた。主力をケガで5人も欠くピンチも、チーム伝統の「ハードワーク」でカバー。終盤、猛攻を浴びたが、最後まで集中力は切れなかった。1万人を超えるホームのサポーターの後押しや、東日本大震災復興への思いも力に変えた。

 最後まであきらめない泥臭さが、イレブンのモットー。試合終了まで「鳥栖魂」を見せ続けた。真骨頂は後半ロスタイムだった。鳥栖GK赤星拓(27)は、1対1の場面でC大阪MFキム・ボギョンの強烈な至近距離からの弾丸シュートを正面でファインセーブ。そのこぼれ球を味方が体を張ってクリアした。

 直後にスコアレスドローで試合が終了。選手の誰もがMF清武らを擁するC大阪より、充実感を漂わせていた。赤星は「チームの強みは全員のハードワーク。持ち味が開幕戦から出せて良かった」と喜んだ。

 執念だけではない。C大阪を研究し尽くした戦術も機能した。昨季2位タイの67得点を記録した攻撃的な相手に対して、序盤からスペースを与えないコンパクトな守備で応戦。193センチの新加入DFキム・クナンと、186センチの呂成海の組み合わせを公式戦で初めて試したこともはまった。

 尹晶煥監督(39)は「意図通りのゲーム運びができた。集中力を切らさず無失点に抑え満足している。リスク管理ができていた」とたたえた。ただ決定力不足は相変わらず解消されておらず、課題は抱えたままだ。

 現在はGK室、DF木谷、MF船谷、岡本、早坂がケガで離脱している。だが逆に結束力が高まっていたという。1万1283人のファンが詰めかけた。記念すべき鳥栖の「J1元年」でぶざまな姿は見せられなかった。それだけではない。昨季、東日本大震災で被災した仙台に所属したMF高橋は「自分の頑張る姿を見せるのが(被災地への)力になる」。この日の試合開始前、震災犠牲者への黙とうがささげられた。FW豊田やDF磯崎ら、Jの東北クラブ出身者の復興への思いも強かった。奮闘でつかんだ価値あるドローだった。【菊川光一】