過酷なシーズンを、鉄人復活元年にする。仙台MF梁勇基(31)が、今季の目標に全試合出場を掲げた。宮崎・延岡での第2次キャンプが始まった29日の練習では若手に劣らぬ走りを見せ、順調な仕上がりをアピール。初参戦のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を含めて最大で60試合を超えることになるが、今月7日に31歳を迎えた大黒柱の目は本気だ。

 梁が堂々と“返り討ち”を宣言した。「まだまだ落ち着きたくない。ベテランという言葉でまとめられたくないし、まだ伸びると思う。若いヤツらに負けないように頑張りますよ」。午前の練習は約300メートルを55秒で2本、50秒で2本、45秒で1本といったようにタイムを縮めていく中距離走などランニング中心。そこでも意地をのぞかせた。競争をあおる手倉森監督の意向でポジションの近い選手が同じグループになり、梁はチームトップクラスのスタミナを誇る19歳の藤村と張り合ってみせた。

 昨季はボランチに入る場面もあったが、今季は攻撃的な位置である程度固定される見込み。佐々木、ヘベルチとライバルも増える中で「やるからには全試合出たい」。過酷さは承知の上だ。Jリーグ34試合、ACLは1次リーグ6試合に決勝トーナメントが最大8試合。ナビスコ杯と天皇杯で決勝まで勝ち進めば、それぞれ5試合と6試合。2月26日のACL初戦からクラブW杯まで含めると60戦以上という、例年にないシーズンとなる。それでも「いかに調子の波を少なくコントロールするか。楽しみでもある」と力強い。

 昨年12月1日のシーズン最終戦後、いったん解散したチームを尻目に、その足で北朝鮮代表として東アジア杯2次予選に出場。「(12月)10日までやったから、年内は休むと割り切れた。ここまでは痛いところもないし、いい状態」とうなずく。昨年は2月に右膝を痛めて開幕に間に合わず、J2時代の06年から続けた213試合連続出場が途切れた。しかし、心技体が充実した今の梁に死角は見当たらない。【亀山泰宏】