<J2:札幌0-1水戸>◇第16節◇26日◇札幌厚別

 苦肉の策も実らず-。J2札幌は水戸に敗れ、4戦ぶりの黒星を喫した。財前恵一監督(44)はFW上原慎也(26)を今季初の先発1トップに起用。札幌厚別の荒れたピッチ、強風対策として上原の速さと高さを生かすスタイルに変更したが4戦ぶりの無得点に終わった。同競技場での6戦未勝利は09年以来4年ぶり。ホーム開幕からの本拠8戦連続失点は、08年の7戦連続を越えクラブワーストとなった。

 足取りが重かった。試合後のあいさつに向かう札幌の選手たちに、厳しいブーイングが飛んだ。3日京都戦以来4試合ぶりの完封負け。これでホームは8戦して1勝1分け6敗となかなか結果が出ない。当然、スタンドのフラストレーションもたまる。「ホームで勝ってくれ」。周囲の思いが投げかけられた。

 指揮官の執念も実らなかった。開始3時間前の午前10時に競技場に赴き、ピッチコンディションを確認した。「上に行くために内容より、とにかく結果にこだわりたかった」。

 厚別では今季3戦未勝利と結果が出ていなかった。荒れた芝、強風-。本来、中盤でボールをつないで崩すサッカーを追求してきた。勝つためにロングボールを多用したスタイルに変えたが、勝利にはつながらなかった。

 主力の負傷が響いた。24日の紅白戦まで先発候補だったFW前田が、左足首と左内転筋痛が悪化し先発回避を余儀なくされた。スタイル変更によるパワープレー気味の戦いを想定し、急きょ上原を1トップに起用したが指揮官は「どうしても上原に頼ってしまい、周りの反応が遅くなってしまった」。緊急シフトの本格テストは前日25日の練習だけとあり、精度を高めるには時間が短すぎた。

 上原は「ボールが流れてくる風上の前半にしっかり点を取れなかった」と反省。けがを抱えながら後半から途中出場した前田も「ピッチが悪い中でもつなぐ場面を入れても良かった」と課題を挙げた。プレーオフ圏との勝ち点差は7に開いた。本拠地での足踏みをいち早く止め、浮上へのきっかけをつかみたいところだ。【永野高輔】

 ◆札幌のホーム連続失点記録

 01年5月12日鹿島戦(2-1、札幌厚別)~11月24日C大阪戦(0-1、札幌ド)の12戦連続が最長。J2では最下位に終わった04年4月10日山形戦(0-1、室蘭入江)~7月4日京都戦(0-2、函館)の9試合が最長。ホーム開幕からでは、今回水戸戦に敗れ8戦連続となり、08年3月15日横浜戦(1-2、札幌ド)~7月5日清水戦(2-2、札幌厚別の7戦連続を抜きクラブワーストとなった。