エースが2年ぶりの最終戦ゴールで、プレーオフ進出とシーズン最多得点のダブル達成を狙う。J2札幌FW内村圭宏(29)が22日、明日24日の最終北九州戦(札幌ドーム)での2得点を目標に掲げた。現在17ゴールで、09年愛媛時代に記録したシーズン最多18得点まで残り1。勝てばプレーオフ進出が確定する大一番で、クラブの日本人選手初となる連続マルチ得点を決め、チームの目標と自身の記録更新を果たす。

 13番の2発で逆転プレーオフ圏入りを決める。内村はこの日、札幌・宮の沢での紅白戦で主力1トップに入り、カウンターからチャンスメーク。練習後は体のケアに約5時間かけ、決戦準備を整えた。前節岐阜戦では2得点で勝利に貢献。今季通算17点に伸ばし、97年吉原、00年播戸の15点を超え、札幌の日本人の1シーズン最多得点記録を更新した。今度はクラブの日本人初の連続複数弾と、自身最多の18点超えへ「まず1点から。しっかり決めて、自分の記録もクラブの記録も1つずつ塗り替えたい」と力を込めた。

 札幌ドームの歓喜を2年ぶりに再現させる。鳥栖、徳島と三つどもえで臨んだ11年12月3日の最終東京戦は、全2得点を挙げ、劇的なJ1昇格につなげた。「同じような雰囲気になってきた。おいしいところは、また自分で持っていきたい。期待して出してもらっているし、点にこだわってやりたい」と得点源としての自覚を示した。

 左足首には、まだ痛みが残る。20日天皇杯甲府戦を回避して回復に努めたが、完全に治ったわけではない。紅白戦後は1人でランニング中、北九州戦前のOB戦に出場する野々村社長が並走し、ケガの状況を気遣ってくれた。「そうやってトップの人が気にかけてくれるのは本当にありがたいこと。だからこそ、しっかり結果を出さないと」。クラブの思いも背負い、体を張ってゴールを狙う。

 財前監督はキーマンとして「勝つには点を取らないといけないから」と内村の名を挙げた。札幌ドームでは計8得点。J2では7得点を挙げ、決めた試合は5戦全勝と大好きなピッチが待っている。DF陣も好調でクラブ初の4戦連続完封勝利もかかっている。「気持ちは絶対盛り上がるし、気持ちよくやらせてくれる場所。全員で喜べるよう全力でやりたい」。エースの仕事で、確実に勝ち点3を取りにいく。【永野高輔】

 ◆「11年12月3日東京戦」VTR

 勝ち点68の2位鳥栖、同65の3位札幌と4位徳島が最終戦で2、3位のJ1昇格枠を懸けて戦った。札幌は前半40分、MF古田の左クロスを内村が押し込み先制。内村は同ロスタイム2分に2点目を決めた。後半35分に失点したが、2-1で逃げ切って勝ち点68に到達。鳥栖は熊本に引き分け、勝ち点69の2位。徳島が岡山に0-1で敗れたため、札幌が3位でJ1昇格を決めた。