<J1:C大阪1-0広島>◇第32節◇23日◇金鳥スタ

 C大阪の日本代表FW柿谷曜一朗(23)が、逆転Vの可能性を残す必殺スルーパスを決めた。広島戦の後半7分、柿谷のパスを元ブラジル代表シンプリシオが決めて勝利。勝ち点を56に伸ばし、5位から4位に浮上。同6差で首位横浜を追うC大阪は残り2戦全勝と上位陣の取りこぼしが絶対条件だが、奇跡の逆転Vにわずかな望みを残した。

 C大阪のエース柿谷が、優勝を争うライバル広島をホームで沈めた。後半7分、ゴール左でDF丸橋からパスを受けると、フェイントを入れ、ニアサイドに走り込んだMFシンプリシオに絶妙なスルーパス。決勝点を見届けると両手をたたき、喜びをかみしめた。

 「ずっと集中していた。パスは狙い通り。しっかり(シンプリシオの足元に)入って良かった。勝てたんで何でもいい。代表に行ったとか、時差ぼけがあるとか関係ない。1点を守ってくれた守備陣に感謝したい」

 日本代表の欧州遠征に参加し、19日のベルギー戦では代表7戦ぶりのゴールを決めたばかり。21日の帰国からわずか中1日での強行軍だったが、疲れを感じさせることなくフル出場。先制後は前線からの必死の守備で、この1点を守り切った。

 この日の入場者は、12年5月6日神戸戦で記録した1万6446人を抜く、金鳥スタ最多となる1万7489人。今やJリーグ屈指の集客力のある23歳は、約1カ月前からチケットが売り切れた今季4度目の完売試合で、満員のスタンドを沸かせた。

 会場には日本協会原技術委員長や、イタリア人代理人も視察に訪れていた。センスと技術力の高さを見せつけた柿谷は、試合後は「早く帰って寝たい」と、得意のジョークもさえ渡った。レビークルピ監督は「体力的に厳しかったと思うが、ゴールにつながるアシストをしたし、フィニッシュの意識も高かった」と、2戦連発こそ逃したが32試合18得点のエースを絶賛した。

 勝ち点6差の首位横浜が勝ったため、引き分け以下で優勝の可能性が完全消滅していたC大阪には貴重な白星だ。次節はホーム最終戦となる30日鹿島戦(長居)。逆転優勝へはC大阪の2戦全勝と上位陣の総崩れを待つしかない。現実的にはACL出場権が得られる3位以内へ、あと1歩の4位にまで浮上してきた。

 「(目標は)ずっと変わりない。優勝するだけ。僕らはもう勝たないと無理なんで、残り2試合も勝ち点3をとるだけ。自分たちを信じてやりたい」。開幕前に誓った目標に届く可能性がある限り、柿谷は“奇跡”を最後まであきらめない。【福岡吉央】