現在優勝争いに絡む鹿島の元日本代表DF岩政大樹(31)が今季限りで退団することが2日、分かった。04年に入団し、昨季までレギュラーとしてJ史上初の3連覇にも貢献した。今季は18試合に出場も7月6日の川崎F戦以降は出場機会が激減。現役続行を希望しており、今後新天地を目指すことになる。

 この日軽めの練習を終えると、愛車の前で腕を組み、感慨深そうに心境を語った。「最近2年ぐらい考えていたが、ここがいいタイミングだと思った。仲間にもあいさつして出たかった。まだやれる自信もあるし、ここで挑戦せずに後悔したくない」。腹を据えた岩政は晴れやかな表情を見せた。

 葛藤があった。センターバックには、今季DF山村が台頭するなど、チーム内は若手が成長している。世代交代を進める中で「自分が出ると若手の機会がなくなる。僕が入ったときの秋田(豊)さんもそうだった。彼らの活躍を見たい気持ちと、自分が試合に出たい気持ちの矛盾が一番つらかった」と、苦しんだ胸中を明かした。

 クラブ側は岩政の意思を尊重する考えだ。黄金時代を支えた岩政に、鈴木満常務は「そういう方向になれば、(指導者などで鹿島に戻ってくる)候補の1人であることは間違いない。いろんな経験を積んで帰ってきてくれれば」と、将来的にはコーチやフロントスタッフとして“復帰”も見据える。

 移籍先は決まっていない。岩政は他クラブからのオファーもないと明かした上で「この先どうなるか不安」と、正直な気持ちを漏らした。チームは最終節の広島戦で、大勝での大逆転優勝に望みをかける。その大勝負を前に、31歳の岩政は大きな決断を下した。

 ◆岩政大樹(いわまさ・だいき)1982年(昭57)1月30日、山口県生まれ。岩国-東学大から04年に鹿島入団。鹿島一筋で、主力として07~09年のリーグ3連覇にも貢献した。今季リーグ戦18試合出場。ここまでのリーグ戦通算成績は290試合35得点。09年に日本代表に初招集され、8試合無得点。ポジションはCB。教員免許を持つ。187センチ、85キロ。家族は妻と娘。