アーノルド監督(50)率いる新生ベガルタが、前監督も認める進化を見せた。仙台は宮崎・延岡キャンプ3日目の5日、九州保健福祉大(九州大学リーグ2部)と練習試合(30分×4本)を行い、合計9-0で勝利。視察に訪れたU-21日本代表の手倉森誠監督(46)が「もう1ランク上のファミリーだと伝わった」と昨季まで率いたチームの成長に目を細めた。

 ピッチの11人が連動して次々とチャンスを作り出す姿に、手倉森前監督も安心したような表情を見せた。1トップの赤嶺を中心に、右MF佐々木、トップ下の梁、左の武藤がポジションチェンジしながら攻め込む。両サイドバック(SB)が積極的に攻撃参加し、両ボランチもゴールを狙った。スタンドでアーノルド監督の横に座って見守った前監督は「U-21でも参考になるようなオーガナイズ(組織力)を見ることができた。バージョンアップできている」とうなずいた。

 際立ったのは2列目の3人の関係だった。佐々木は「相手のボランチの後ろでボールをもらえ、と言われていた」と中央寄りにポジションを取る。逆サイドの武藤も同様の動きで相手DFを引きつけ、空いたスペースに梁や両SBが走り込んで決定機を生み出した。1本目21分の先制点は、左の武藤のパスを中央で佐々木が落として最後は梁。3人が抜群の距離感を保ち、すべてダイレクトプレーでゴールを陥れた。

 攻撃練習開始から3日目で選手間の共通意識がプレーに見え始めている。梁は「手倉森さんから『トップ下なら、もっと自由にやっていいんじゃないか』とアドバイスをもらった。参考にしながら(技術を)上げていきたい」。前監督が積み上げてきた組織力は、確実に進化を遂げている。【鹿野雄太】