<J1:仙台0-3鳥栖>◇第8節◇19日◇ユアスタ

 仙台は鳥栖に敗れ、昨年11月からホーム9試合勝ちなしとなった。序盤から再三チャンスを作り、相手の2倍の18本のシュートを放ちながら決定力を欠いて今季5度目の無得点。先手を許し、前がかりになったところでカウンターを浴びる悪循環に陥った。

 攻撃の形は見え始めても、ホームでの強さは取り戻せていなかった。仙台のシュートは半数以上の10本が枠を外れ、残りの8本も相手GKの守備範囲だった。対照的に鳥栖は9本で3度ネットを揺らした。深刻な決定力不足に、MF梁は「いいところで決めきれないのは今日だけじゃない。決めるか決めないかが一番大事」。10年のJ1再昇格後初となる地元での3点差負けに、サポーターからはブーイングが浴びせられた。

 先制点がすべてだった。序盤から鳥栖のロングボールに対応し、得点ランクトップの日本代表候補FW豊田を抑え込んだ。渡辺晋監督(40)も「セカンドボールを拾って攻撃を仕掛ける形ができていた」と言うように、完全に流れをつかんでいた。2トップの赤嶺とウイルソンを中心に何度もゴールに迫ったが、前半45分に耐えていた鳥栖に先制を許した。守備の人数がそろっていながらの失点に、DF石川直は「前半(のピンチ)はあの1本だった。もったいなかった」。ワンチャンスを狙っていた相手の術中にはまり、後半は前がかりになったところを突かれた。今季先制された5試合は、すべて2失点以上での敗戦。MF鎌田が「まず無失点で推移させること」と話すゲームプランが崩れたときのもろさを露呈した。

 スコアは完敗だが、攻撃に特化した練習を行っていない中でゴール前での連係は確実に良化した。渡辺監督は「ミーティングで少し話した程度なのに、いいコンビネーションを見せてくれた。伸びしろがある」と手応えを口にする。攻守を切り替える速さは増し、2トップと周囲の連動性も見えてきた。指揮官は「(26日清水戦からの)5連戦に向け、1週間で攻撃の部分にトライしていく」。取り戻しつつある堅守速攻に加えて、先手必勝のパターンを思い出せば結果はついてくるはずだ。【鹿野雄太】