メッツ、ドジャースなどで活躍し、大リーグ史上最も打てる捕手の1人として殿堂入りも果たしたマイク・ピアザ氏(48)が、イタリア3部レジアーナのオーナーとして、チームを1部に戻そうと奮闘している。ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

 現役時代はあまりサッカーへの興味を示す発言をしたことがなかったピアザ氏だが、父方の祖父がイタリア人。野球のWBCにイタリア代表として出場したこともある。

 そんな縁からピアザ氏は、カリャリなどでGKとしてプレーし、現在はレジアーナのGMを務めるマウリツィオ・フランゾーネ氏と旧知の仲で、昨年6月に同クラブの株式の過半数を取得するにいたった。

 単なる金持ちの引退後の道楽ではない。90年代には3シーズン、セリエAにいたこともあるレジアーナを本気で1部の舞台に戻そうとしているという。

 ピアザ氏はサッカークラブへの投資を検討しはじめてから20チームほどとコンタクトを取った。その中で収容人数2万1584人のマペイ・スタジアムを使用し、11面の練習場を備え、地理的にもイタリアの中心に位置し、セリエA時代を知る熱狂的なファンを持つレジアーナを選んだ。

 そんなレジアーナは90年代以降、苦難の道を歩いてきた。05年には多額の負債のために倒産。建設して間もないスタジアムを手放さなくてはならなくなった。現在もマペイ・スタジアムはセリエAサッスオロのオーナーの所有となっている。

 それでもピアザ氏へ、ファンがかける期待はおおきい。同氏は株式取得後、サポーターの信頼を得るために、現在までに実に7度もイタリアに渡り、クラブ経営について関係者と話し合いを重ねた。新しいスポンサーが集まり始め、倒産とともに去っていったスポンサーも戻ってきた。

 シーズンチケット保持者は昨シーズンの2615人から、倍の5243人に増えた。ピアザ氏がスタンドでイタリア人とイタリア語で会話する姿もよく見かけられるという。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、ファンの1人であるステファノ・カバゾーニさんは「マイク・ピアザ氏のチームプランを全面的に支持する」と明言。

 さらにガブリエレ・ミアリさんは「ピアザ氏は裕福なはずのに、我々との間に壁を作らない」とその人間性をほめ、その上で「彼のイタリア語のレベル? 我々の英語くらいかな。勉強が必要だ」と笑って話したという。「ピアザ・オーナー」は地元サポーターにも好意的に受け入れられているようだ。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)