ドイツ2部ザンクトパウリ入りが決定的となっていたFW宮市亮(22)の移籍加入が18日、同クラブから発表された。背番号は13で、契約期間は18年6月末まで。日本代表招集歴もある快足ウイングは、名門アーセナルからの完全移籍。日本代表復帰も見すえ、心機一転、ドクロをモチーフにした特徴的なクラブから再出発する。

 世界的ビッグクラブのアーセナルからドイツ2部へ。宮市はあえて、厳しい環境から再スタートを切る。すでにドイツ・ハンブルク入りしていた宮市のザンクトパウリ加入が、同クラブから発表された。15日に日本から移籍交渉のため緊急渡欧し、注目されていた快足ウイングの新天地が決まった。

 ザンクトパウリは2部で今季15位と低迷。切り札として100メートルを10秒台で走るスピードが武器の宮市を、このオフの補強の目玉と位置付けた。アーセナルとの差はすべての面で大きいがドクロマークで世界的にも有名な同クラブは、世界一ともいわれる熱狂的サポーターに支えられている。ドイツでは強豪バイエルン・ミュンヘンに次ぐ人気を誇る“ドクロ軍団”の一員となり、欧州での挑戦を続ける。

 けがもあり層の厚いアーセナルでは定位置をつかめなかった。10日には15-16年シーズンの保有選手から外れていたが、これは今回の移籍を見すえた手続きの一環だったことも判明。ザンクトパウリが数億円の移籍金をアーセナルに支払っての完全移籍となるとみられる。

 10年12月に名将ベンゲル監督に認められ日本人で初めて、高校から直接プレミア入りした。その潜在能力は今も評価されており、今回もドイツ1部、プレミアも含めた複数クラブが獲得に乗り出していたが、厳しい環境から“いばらの道”を選んだ。ドクロのごとく、地獄の底からの逆襲-。その先にはもちろん代表復帰、そして3年後のW杯ロシア大会を見すえている。

 ◆ザンクトパウリ 1910年創立。ドイツ北西部ハンブルクが本拠地で、ハンブルガーSVとのダービーが有名。熱狂的なサポーターに後押しされ人気はドイツ屈指で、かつて元日本代表FWの尾崎加寿夫も在籍した。本拠ミラントーア・スタジアム(約3万人収容)は欧州最大ともいわれる歓楽街レーパーバーンの脇にある。リーネン監督。