ACミランFW本田圭佑(29)がイタリア杯ペルージャ戦で1得点1アシストの活躍をみせた。15-16年シーズン初の公式戦でトップ下で先発。全2得点に絡んだ。2季連続のシーズン開幕弾は事実上のセリエA開幕スタメン当確弾。新体制でのハイレベルな定位置争いも制し、23日のフィオレンティナとのリーグ開幕戦を迎える準備を整えた。

 ミランのシーズン1号は、また本田だった。リーグ開幕ラツィオ戦で決めた昨季に続いて背番号10がゴールで新シーズン到来を告げた。前半10分にゴール前に走り込み左足で冷静に蹴り込むと、同28分には中央からスルーパスを供給。ブラジル人FWルイスアドリアーノの得点をお膳立て。ミハイロビッチ新監督の公式戦初采配。全2得点に絡む活躍で白星をプレゼントし起用にこたえた。

 試合後は無言だった本田に代わり、現地メディアで「鬼軍曹」とも報じられる厳しい指揮官から「よくやった。満足している」と合格点をもらった。フィオレンティナとのリーグ開幕戦の先発起用についても「優秀なら先発で出す」と当確ランプがともった。18日付イタリア紙ガゼッタ・デロ・スポルトはMVPとし7・5点と高評価だった。

 新たな指揮官が就任し、前線に大型補強をした新生ミランで始動時は影が薄かった。同国メディアは完全に控え扱い。だが、本田には確信があった。名古屋でもVVVでもCSKAモスクワでもミランでも、ほぼレギュラー。同日付ガゼッタ紙が「本田は世界で最も優秀なトップ下でもなければ、トップ10にも入らない。しかし非常にいいプレーをしていた」と評しているが、これが実に的を射ている。

 ミラン関係者は「今のミランにはホンダのように、まわりを生かす選手がいない」と言った。戦術理解にたけ、労をいとわず、潤滑油的な働きもできる。言動と風貌は典型的な日本人の枠を逸脱しているが、いちサッカー選手としては計算の立つ高品質のメード・イン・ジャパン。指揮官が起用したくなる点は幾つもある。やはり、今季も日本を代表する選手。初戦からそう強く印象付けた。今季はトップ下で新生ミランをけん引する。【波平千種通信員】

 ◆本田の開幕弾 J1名古屋時代はプロ3年目の07年に千葉戦で決めた。利き足ではない右足で押し込んだものだった。海外に渡り、VVVフェンロ時代は1部に復帰した09-10年開幕戦で強豪PSV戦で左CKを左足ボレーでたたき込んだ。CSKAモスクワでは移籍間もない10年のアムカルとの開幕戦で決め、華々しいデビューを飾った。ミランでは14-15年セリエAラツィオ戦に続く、シーズン開幕弾だった。