【テネリフェ(スペイン)1日=山本孔一通信員】鹿島からスペイン2部テネリフェに完全移籍したMF柴崎岳(24)が、異例の公開メディカルチェックで新天地でのスタートを切った。検査項目などを含めて非公開が通例だが、クラブは当地の医療施設で実施した様子を一部公開し、撮影まで許可した。日本ではあまり感情を表に出さなかった柴崎は施設に入る際、笑顔のサムアップで移籍の喜びを表現。その後の入団会見では短いスペイン語で地元メディアの気持ちを引きつけた。

 柴崎は念願のスペイン移籍決定に喜びを隠しきれなかった。テネリフェとの正式契約から一夜明け、午前9時半ごろに市内の医療施設に訪れた際の表情は晴れやかだった。黒革の上着にジーンズ姿。報道陣に向かって満面の笑みで右手の親指を立てた。鹿島時代は喜怒哀楽を押し殺してきた男が、サムアップするほど高揚していた。チームの青いジャージーも着用し、メディカルチェックに臨んだ。

 「大西洋のハワイ」と呼ばれるスペイン領カナリア諸島のテネリフェ島を本拠とするクラブもサービス精神旺盛だった。メディカルチェックはケガの有無などの確認を目的とするため、非公開となることが多いが、約1時間のうち終盤の約10分間を公開し、ランニングする様子の撮影を許可。初の日本人選手を歓迎する雰囲気に満ちていた。

 午後1時半からスペイン観光局で行われた会見で柴崎は“つかみはOK”だった。テレビカメラ11台、約30人の報道陣の前で「スペイン語が問題になると思うか」と聞かれると「Si, pelo puedo hablar poquito espanol(そう思います。でも少しスペイン語は話せます)」と答え、会見場を沸かせた。引き締まった表情で「(スペインは)世界最高リーグの1つ。2部でも技術は優れている。日本人にとって難しいリーグだからこそ挑戦のしがいがある。自分の適応能力を信じて、1日でも早くピッチの上で表現したい」と決意表明した。

 契約は6月末までの5カ月契約で、1部昇格の場合は1年間の自動延長。背番号は鹿島で15年まで背負った20、ユニホームには「GAKU」と入った。テネリフェは現在2部6位で1部昇格プレーオフ圏内(3~6位)の好位置。8季ぶりの1部復帰に導く司令塔と期待される柴崎は今日2日の練習から合流する。4日(日本時間5日)のエルチェ戦でホームのサポーターにお披露目される予定だ。