日本代表主将のフランクフルトMF長谷部誠(33)がダルムシュタット戦で、先制点となるPKを決めて2-0の勝利に貢献した。今季初得点。リーグ戦でPKキッカーを務めたのは初めてで、チーム内の信頼の高さをうかがわせた。チームは3位を維持するとともに、長谷部はブンデスリーガ通算231試合目に。奥寺康彦氏が持つ同リーグ日本選手最多出場(234試合)の更新まであと4試合に迫った。

 長谷部が攻守にチームを引っ張った。ボランチとして的確にピンチの芽を摘み、攻撃に転じるとパスで味方を操った。そんな本来の持ち味に加え、0-0で迎えた後半29分にはPKのキッカーに。初の大役に「緊張した」そうだが「強い気持ちを持って蹴るのが、決まるコツ」。GKの逆を突いてゴール右隅に決めた。

 今季初ゴール。昨年4月30日、同じダルムシュタット戦以来となるフランクフルトでの2点目、ブンデスリーガ通算7点目だった。今季はFWマイヤーがPKキッカーを務めたが、昨年末までに2回失敗。リーグ再開に合わせ、コバチ監督が3週間前に長谷部に交代させたという。技術や経験に加え、精神的支柱としての信頼感の証しだ。波に乗ったチームは9分後に加点。勝ち点3をものにし、3位を守った。この活躍で長谷部はドイツの専門誌キッカーから「今節のベストイレブン」にも選ばれた。

 順調なら25日のヘルタ戦で奥寺氏の出場記録に並び、3月5日のフライブルク戦で新記録の金字塔を打ち立てる。08年2月にウォルフスブルクでデビューしてから10シーズン目。日本人ながらブンデスでもベテランの仲間入りだ。

 今季は本職のボランチだけでなく、センターバックを任されることがあるのも、コバチ監督に戦術理解度の高さを買われてのもの。「与えられている役割は重要なもの。やりがいを感じるし、信頼に応えないといけないという責任感もある」と長谷部は風格さえ漂わせる。クラブでの充実は、日本代表にも好影響をもたらしそうだ。