【ボルフスブルク(ドイツ)1日=益子浩一】ボルフスブルクに移籍したFW大久保嘉人(26)が、鮮烈なリーグ戦デビューで欧州に衝撃を与えた。1月31日の敵地ケルン戦に後半21分から途中出場。神出鬼没な動きで2度も決定的なシュートを放ち、同点弾を演出して1-1の引き分けに貢献した。試合後の会見では地元記者が、マガト監督に「あの選手をどこから見つけてきたのか」と質問。大久保も20分以上も取材攻めにあうなど、ドイツに強烈な印象を残した。

 大久保がいきなり強烈なインパクトを残した。試合後の会見が、その衝撃を物語っていた。地元のドイツ人記者が興奮した様子で、マガト監督に質問した。

 地元記者

 オオクボという、あの選手はどこから連れてきたのか?

 すると、普段は選手の個人名を挙げて具体的な評価をすることをしない同監督が、ニヤリと笑みを浮かべながら語り出した。

 マガト監督

 数年前から彼を見ていて、シュツットガルトで監督をしていた時も呼ぼうと思っていた。彼は速くて、優れたゴール感覚を持っていることをお見せできたと思う。

 神出鬼没な動きだった。ベンチスタートも、後半21分に登場。一瞬の動きでゴール前へ飛び出し、たった1分で右足の決定的シュートを放った。同28分にはFWグラフィッチへラストパスを送って同点弾を演出。最大の見せ場は6分後だ。ハーフウエーライン付近から全速力でゴールへ向かい、こぼれ球を拾うとポスト直撃のシュート。05年マジョルカに続くデビュー戦ゴールは実現しなかったが、敵地の歓声はブーイングからため息へと変わった。

 大久保

 やっと始まったなという感じ。今日は(ゴールが)決まれば一番よかったけど、あれ(ポスト直撃)が入れば最高だったね。次やね、次。ゴールは次にとっておきます。

 試合後は地元記者、テレビなど50人以上の報道陣から20分以上も取材攻めに遭った。わずか24分間の出場で、完全に本場欧州の心をつかんだ。7日にはMF小野のいるボーフムと対戦、その後に帰国し、オーストラリア戦だ。「絶対に勝たないといけない試合だから。バーレーンには負けましたけど、気持ちを切り替えて、オレもいい状態で入れるようにしたい」。新天地ドイツで弾みをつけた。

 [2009年2月2日7時34分

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