<プレミアリーグ:マンチェスターU2-0ウェストブロミッジ>◇29日◇マンチェスター

 マンチェスターUの日本代表MF香川真司(23)が元気な姿でピッチに戻ってきた。ホームで行われたウェストブロミッジ戦にトップ下としてスタメン出場。後半21分までプレーした。10月23日の欧州チャンピオンズリーグ・ブラガ(ポルトガル)戦で左膝を負傷。約2カ月間で15試合を欠場したが、地道なリハビリによって復活した。

 左膝痛から戦列復帰した香川が、いきなり活躍した。背番26はスタメンに名を連ね、精力的に動き回った。前半9分には先制点のきっかけを作った。左MFヤングが香川とのワンツーで抜け出し、ゴール左から強烈なシュート。これが相手選手に当たって、先制点となった。香川はヤングとがっちり抱き合った。

 香川はその後も攻撃ではDFの裏へ走り込む得意の動きを狙い、守備でも低い位置にまで戻ってきた。左膝にサポーターは巻いているものの、不安を感じさせない姿を見せ、後半21分にファンペルシーと交代した。

 ファーガソン監督の突然の先発起用に応えた。前日会見の様子を報じたマンU公式サイトですら、「ベンチ入りする可能性はある」と記したにとどまった。練習でもスタメンチームの一員には名を連ねていなかっただけに、いきなりの先発を予想していた地元メディアは皆無だった。

 香川のスタメン出場は、前半45分しかプレーできずに負傷交代した、忌まわしいCLブラガ戦以来、今季8戦目。香川はマンUに移籍してから、フル出場すら開幕戦の1試合だけ。思うような成績を残せていない日本代表MFにとって、後半戦へ勢いのつく一戦だった。

 これまでもケガを乗り越えて大きくなってきた。C大阪からドルトムントへ移籍した初年度の11年1月。代表の一員として臨んだアジア杯準決勝韓国戦で、右第5中足骨を骨折した。当時もドルトムントでリーグ戦16試合を欠場した。それでも焦る気持ちを抑えながら、ケガを完治させることを優先させた。復帰を急がず、じっくりとリハビリをしたことが、本格的にピッチに戻ったドイツ2年目に31試合13ゴールとクラブの連覇という結果に表れた。

 首位を走るマンUだが、不安要素がないわけではない。エースのFWルーニーは練習中に膝の裏を痛めて2~3週間の離脱。オランダ代表FWファンペルシーも、2戦前のスウォンジー戦で相手DFのクリアしたボールが至近距離から頭部を直撃。この日のウェストブロミッジ戦は先発を外れた。復活した香川にかかる期待は大きい。

 ◆左膝負傷

 10月23日のCLブラガ戦の試合中に負傷。1度ピッチ外に出て治療しプレー。だが痛みに耐えられず途中交代した。試合後の検査で左膝内側靱帯(じんたい)損傷、全治3~4週間と診断された。

 ◆代表に招集されず

 10月30日に日本協会はW杯アジア最終予選オマーン戦(11月14日)への招集を断念した。

 ◆復帰遅れ

 4週間ほどで復帰の見通しだったが、11月19日の会見でファーガソン監督が「さらにあと4週間かかる」と明言。大幅に復帰が遅れた。

 ◆練習再開

 12月4日の練習からランニングを再開。

 ◆ピッチに登場

 12月26日、試合前練習に参加。ベンチ入りはしなかったが、ボールを使った練習や40メートルダッシュを行うなど順調な回復ぶり。