[ 2014年2月1日10時55分

 紙面から ]子出藤(中央)は、北海高の恩師、後輩とおどけた表情で記念撮影(撮影・中島洋尚)

 ソチ用ローテーションで魅せる!

 スノーボード・ハーフパイプ(HP)のソチ五輪代表、子出藤(ねでふじ)歩夢(19=日体大)の壮行会が1月31日、札幌市内の母校、北海高体育館で行われた。同高出身の五輪選手は、88年カルガリー大会のスキージャンプ田尾克史以来、26年ぶり夏冬通算19人目。在校生約900人に健闘を誓った子出藤は、得意のダブルコーク(横3回転、縦2回転)中心のローテーションで海外勢に挑む。

 「フレー、フレー、ネ・デ・フ・ジ」。野球部全選手のそろった野太い声に、ステージに立つ子出藤の背筋がピンと伸びた。28年に日本人として初めて冬季五輪に参加した高橋昴氏、32年ロサンゼルス五輪陸上で金メダルを獲得した南部忠平氏ら、来年4月で創立130年の北海高からは過去18人が五輪に出場した。その最後尾に、ボーダー子出藤の名前が連なった。「北海の歴史に名前を刻めてうれしい」。26年ぶりの北海オリンピアンが、神妙な顔つきで言った。

 在校時は3年間あだ名で「ソチ」と呼ばれた。自ら「ソチ五輪出場」を宣言して学校生活を送った。3年時の担任だった武藤恵美教諭は「文武両道とはまさにこの子のこと」と振り返る。遠征や合宿で通学は少なかったが、成績表は5段階で5と4だけ。文化祭では1人でステージに立ち、お笑いコンビ「2700」をまね、学校中を盛り上げた。武藤教諭は「終わってからも後輩の女の子に囲まれてました」と話す。

 大舞台でも注目を浴びるため、3大会連続金メダルを狙うショーン・ホワイト(27=米国)ら海外勢の厚い壁に、五輪用ローテーションで挑む。急角度でドロップインし、最初の壁で持ち前の高いエアを披露。中盤は完成度の高い横回転の技を並べ、フィニッシュライン手前の最後のエアで、3Dのダブルコークをメイクする。「イメージはできています。全部がしっかり決まれば、メダルにも手が届く」と分析する。

 ソチのパイプは昨年のW杯で経験し、予選3位、最終10位と相性は悪くない。3日までの帰札中に「1個でご飯1膳食べられる」(子出藤)という母永子さん(48)のお手製コロッケを食べ、北海高への登校と同じ平常心で五輪に向かう。「『こでふじ』と呼ばれることもあったので、『ねでふじ』と知ってもらいたい」。ソチの空で「世界のNEDEFUJI」を襲名する。【中島洋尚】

 ◆子出藤歩夢(ねでふじ・あゆむ)1994年(平6)4月7日、小樽市生まれ。北海高出身の父の影響で6歳からスノーボードを始めた。小樽銭函中2年でJOCジュニアオリンピック優勝。高1の世界ジュニア3位、昨年3月のW杯シエラネバダ(スペイン)大会で自己最高2位。今季は昨年8月のW杯カードローナ(ニュージーランド)大会4位が最高。180センチ、68キロ。家族は両親と兄。