日本のリレー侍が、史上初のオリンピック(五輪)金メダルへの道筋を描く。

今夏のパリ五輪切符が懸かる5月4、5日の世界リレー(バハマ)へ向け、男女400メートルリレー代表が都内で合宿初日を公開。男子は昨夏の世界選手権100メートル代表の柳田大輝(20=東洋大)らがバトンワークなどを確認した。

日本陸連で短距離強化ディレクターを務める土江寛裕氏(49)は「金メダルを取るための練習ができれば」とパリへ視線を向けた。

“本気モード”でバハマへ乗り込む。16カ国が出場する世界リレーは、上位14カ国に入れば五輪の出場権を獲得。世界選手権2大会連続決勝進出中で米国を拠点とするサニブラウン・ハキーム(25=東レ)も大会直前に合流する。

土江氏は日本のエースを4走で起用すると明言し「ハキーム抜きでは(金メダルは)取れない。パリへの作戦を立てる上でも非常に大事なレース」と見通した。27日にはサニブラウン不在の編成で、米国のレースに出場予定。万全の状態でパリ切符をつかみにかかる。

この日の練習でも“本気モード”は垣間見えた。バトンを受け渡すタイミングでは、あえて内側の走路に選手を配置。これはバトンミスにより決勝で失格となった東京五輪を踏まえたものだという。

「(当時はインレーンが)イタリアだったから大丈夫かなと思いましたが、(2走が東京五輪100メートル金メダルの)ジェイコブスで、バトンを渡す時にお尻がギュッと出てくるところで大回りになって、速度が落ちて、距離が届きませんでした」

その失敗を知るメンバーたちは自ら「やりましょう」と提案。インレーンに選手を配置し、確認に時間を割いた。

2走を務める柳田は「最後にハキームさんがいるので、僕のところがキーになる。少しでも前でつないで、ハキームさんに良い位置で渡せられれば」と意気込み、3走を担う上山も「五輪の出場権を取ることは絶対条件」と固く誓った。

16年リオデジャネイロ五輪の銀メダルを上回る結果へ。“新・リレー侍”が新たな歴史を刻む。