2月26日から3月1日にかけ、フィリピンでは第11回アジアエージグループ選手権が行われた。本来なら昨年の12月に開催される予定だった本大会。世界情勢などの理由で延期となっていた。

今大会には、13歳から18歳までの男女合わせて6人の選手が出場した。ほとんどの選手が初めての国際大会。今後の飛び込み界を担う選手たちの活躍に期待がかかった。

今大会に出場した二羽倖駕(小松大谷高)と杉本琉音(小松大谷高)は小松ダイビングクラブの後輩だ。飛び込みを始めた頃から知っている2人が、国際大会へ出るまでに成長。既に国内ではトップクラスの2人だが、世界へと羽ばたいている姿にとてもうれしくなった。

二羽は、今大会で「1メートル個人」「3メートル個人」「高飛び込み・個人」「3メートルシンクロ」「高飛び込み・シンクロ」の5試合に出場。国内でも経験したことのないハードスケジュールだった。

試合は一発決勝。しかし、ジュニアの試合は基礎演技となる「制限選択」も飛ばなくてはならない。そのため今大会では、男子は10種目、女子は9種目の合計点数で競われた。男女同時進行での試合形式だったため、1試合にかかる時間は3時間。心身共にタフさが求められた。

さらに、会場のニュークラークシティ・アクアティクスセンターは室外プール。日除の屋根はあるものの、日中は容赦なく日差しが照りつける。真夏の暑さとの戦いもあり、肉体的にもかなり厳しい中での試合だった。

そんな過酷な状況ではあったものの、個人では1メートルと3メートルで金メダル、高飛込みでは銅メダルを獲得した二羽。さらに、杉本と組んだ3メートルシンクロでも金メダルを獲得した。疲労との戦いもある中、とても素晴らしい活躍を見せてくれた。

試合を終えた二羽に感想を聞いてみると、

「今回4年ぶりにアジアエージに出場した。5日間、毎日試合というハードスケジュールでとても辛かった。特に3日目に行われた1メートルの試合から疲れを感じ始めた。しかし、最後の試合まで飛びきれた事は良い経験になった。この経験をいかしてこれからも頑張っていきたい」と答えた。

そして、シンクロパートナーの杉本は「久しぶりの国際大会で日本の大会ではありえないことがたくさんあった。しかし、最後まで戦い切れてよかった。自分の課題や弱さをたくさん知ることができたので、これからも練習を重ねてもっと強い選手になりたい」と試合を振り返った。

今大会で日本は、金メダル7個、銀メダル1個、銅メダル3個を獲得した。アジアエージといえども、6人の選手でこれだけのメダルを獲得するのは本当に素晴らしいこと。

しかし、今回遠征に帯同した担当コーチからは、「特に男子はアジアのレベルが年々上がってきている。今回は中国の出場選手が少なかった事がメダル獲得に大きく影響したが、ほとんどの国のコーチが中国人になっている。今後、どの国も力をつけてくる事が考えられるため、気が抜けない。」と話していた。

中国では飛び込み競技が国技として強化されている。そのため、世界で戦える選手がゴロゴロいるほど選手層は厚い。そこで、ほとんどの国が中国からコーチを招き、指導法のノウハウを持ったコーチたちから指導を受けている。日本も負けてはいられない。今回の成績に満足する事なくさらなる高みを目指して頑張ってほしいと思う。

今年はリオデジャネイロで世界ジュニアが開催される。今回、出場した選手の中からもきっと参加する選手が出てくるだろう。今大会の経験をいかし、世界ジュニアでもたくさんのメダルを持って帰ってきてくれる事を期待している。(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)