36歳の稲田法子(セントラルスポーツ)が、04年大会以来、11年ぶり日本選手権優勝を果たした。女子50メートル背泳ぎを28秒36で制覇。世界選手権の派遣標準記録は破れなかったが「覚えていないくらい久々」に表彰台の真ん中に立ち、「子どもでもおかしくない」13歳の3位酒井らと笑顔をみせた。

 92年バルセロナ五輪で平泳ぎの岩崎恭子らと「中2トリオ」と注目された。00年シドニー五輪100メートル背泳ぎで5位となり、04年アテネ五輪後に26歳で引退。しかし、コーチ留学した米国で再び水泳の魅力にとりつかれ、10年に復帰した。12年ロンドン五輪は日本選手権100メートル背泳ぎ3位で出場を逃し「あと1年と思ってやっていたら、リオが来年になった」と笑う。

 米フェニックスで子どもに水泳を教えながら「あまりガツガツしない練習」で現役を続ける。今大会前1カ月間は、オーストラリア・パース近郊の海でトレーニング。「ボディーサーフィンしたり、波からエネルギーをもらってスピードに慣れた」。リオデジャネイロ五輪の時は誕生日が過ぎて38歳。それでも「この年でまだタイムが出るし、勝てる。それが水泳の楽しいところ」と話していた。【荻島弘一】