2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムに対し、ベルギーのリエージュ劇場のロゴと「酷似」していると指摘が出ている問題で、エンブレムのデザインを担当したアートディレクター佐野研二郎氏(43)が5日、都内で会見した。劇場側の「盗作」との指摘について、「まったくの事実無根」「ゼロからつくったものだ」と強く反論した。

 劇場のロゴは「見たことがない」とした上で、「アートディレクターとして、これまでものをパクるということは一切したことがない」「私のキャリアにおける集大成。真にオリジナルのものができたので、世界に発信したいと思った」とも主張した。

 佐野氏は4日まで米ニューヨークに出張しており、出張先で今回の騒動を知ったという。「ショックだったし、今日まで本当につらかった」と振り返った。劇場のロゴとは「デザインへの考え方が全く違う」と強調。劇場側のロゴは「リエージュ」のLと、「THEATRE(劇場)」のTを組み合わせたものだとした上で、自身のデザインは、正方形を9分割した上で、「T」や赤い円を配置するなど、独自の構図から作り上げたものだと述べ、「背景そのものがまったく違う」と強調した。

 劇場とは別に、スペインの事務所が東日本大震災の寄付を募る際の一環で発表したデザインの色合い(金、黒、赤)とも似ているとの指摘があるが、これに関しては「より日本的な色であり、心外だ」と訴えた。

 劇場側は法的措置に出る考えも示しているとされ、すでに組織委員会側に書簡を送付している。組織委員会側は、先方が商標登録していないことが分かったとした上で、今後のエンブレム使用継続に関しても、あらためて問題ないとの考えを示した。