柔道の世界選手権は明日24日にカザフスタン・アスタナで開幕する。22日、男女日本代表が練習を公開。女子57キロ級で4大会ぶりの女王返り咲きを狙うロンドン五輪金メダルの松本薫(27=ベネシード)は、「去年は胃が痛かったけど、大丈夫」と順調に調整を積む。昨年は胃薬が手放せなかったが、今年は日本から持参した駄菓子がお供。「もう少ししかない。誰かくれないかな」と笑った。

 2回戦負けした昨年の「痛み」の原因は意識過剰だった。五輪王者の肩書が重圧になり、心身を縛った。それが「実際に負けると何も背負ってなかった。人の目を気にしすぎていた。いまは死ぬわけではないし、と思う」。敗戦で重荷はないと気付けた。

 現地入りしてから銀行の両替に奔走し、「やっとできたら、大量にお札をもらってうれしかった」と無邪気さも普段の姿。「普通の便です」と胃の調子で周囲を笑わすほど、心は軽い。現役は来年のリオデジャネイロ五輪までと決める。「ゼロからのスタート」。残り1年、2つ目の金メダルへ。身軽な体でここから積み上げていく。(アスタナ=阿部健吾)