復帰3戦目となる浅田真央(25=中京大)が3位とし、2季ぶりのファイナル(バルセロナ)進出を決めた。ショートプログラム(SP)4位から追い上げを狙ったが、ジャンプにミスが続き、フリーは120・49点の合計182・99点と伸ばせず。GPシリーズの連勝も「8」で止まったが、最低限のスペイン切符はつかんだ。

 浅田が首をひねった。拍手に、申し訳なさそうに顔をしかめた。「気持ちと動きが一致していない。ちぐはぐしているな」。朝の練習から隠しきれない違和感は、演技直前になってもぬぐえない。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は跳んだ瞬間に「キレがない」と感じ、軸がゆがんだ。回転がほどけて2回転に。以降も、後半の3回転フリップが回転不足になって連続技にできず「残念な気持ちが大きい」と肩を落とした。

 試合に臨む気持ちに変化があった。「『やらなきゃ、やらなきゃ』という思いが強すぎたかな」。先月のジャパン・オープン、続く中国杯と強調したのは滑る楽しさだった。試合の緊張感を楽しみ、得点に固執せず、競技会に帰ってきた幸福感に浸った。地元開催の今大会、「いよいよシーズンに入ったんだな」と心境は変わり、波があるジャンプを成功させることに執着が起きた。それが演技に影響した。

 踏み切り改善に取り組む3回転ルッツも、違反の疑いと判定され、11年4大陸選手権以来の成功はならなかった。休養前との比較では「1つ1つのジャンプの質は良くなっている」というが、それを「日々の確実性とプログラムにした時の完成度」につなげることが今後の課題となる。ファイナルまでは2週間。「基礎はできている。気持ちを強く持ってやるしかない」と口元を引き締めた。【阿部健吾】