元プロ野球選手が障がい者スポーツに挑戦している。

 元横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)投手の吉原道臣氏(34)が12日、神戸市の王子スポーツセンターで行われた「日本シッティングバレーボール選手権」に出場した。

 尻を床につきながら現役時代をほうふつとさせる直球ならぬ、強烈なサーブを連発した。ミスが続いた場面では「集中! 集中!!」と声を張った。吉原氏は「野球も同じで、凡ミスが続いた時の集中力が大切。勝負ごとになるとつい本気になっちゃいますね」と笑みを見せた。

 06年にドラフト6巡目で横浜に入団。140キロ後半の直球とフォークを武器に“暫定大魔神”の愛称で親しまれ、10年に現役引退した。昨年10月にOA機器販売のオフィス24に入社し、今年6月に営業から広報室兼人事総務部に異動した。同社が日本シッティングバレーボール協会とスポンサー契約を結んでいたこともあり、現在は同競技の普及に尽力している。

 一方で、同社チームの責任者としても活動し、月1回は一般人も参加できる教室を開催している。「前後の移動や座ってのプレーは難しいけど、チームスポーツは楽しい。まずは、この競技を多くの人に知ってもらい、興味を持ってもらいたい。障がい者支援の1つとして、少しでも力になりたいです」。

 この日は予選リーグが行われ、同社は1勝(不戦勝)1敗だった。今年6月にチームを結成し、いまだに未勝利。チームの目標は「早く勝ち星を挙げること」で、吉原氏は「野球もシッティングバレーも奥が深い」とうなずいた。

 シッティングバレーボールは6人が座ったままでプレーする。パラリンピックでは男子が80年、女子が04年に正式種目になった。12年ロンドン大会では女子が7位入賞した。

 同大会は、男子17チーム、女子11チームが出場。健常者も参加でき、多くのチームが障がい者と健常者の混合チームだった。13日に決勝トーナメントが行われる。