2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の新整備計画で、政府は22日、関係閣僚会議を開き、日本スポーツ振興センター(JSC)の大東和美理事長が選定した建築家・隈研吾氏(61)、大成建設、梓設計チームのA案を了承した。大成建設は前計画のザハ・ハディド案でもスタンド工区を担当。蓄積した経験が工費、工期縮減の実現へ信頼性を高め、勝利につなげた。ザハ氏は「我々のデザイン案と似ている」と批判した。

 ザハ氏はA案が安倍首相らに承認され10分もたたないうちに「我々の案と似ている」との酷評コメントを発表した。「スタジアムのレイアウトや座席配置が我々が発表したものと、とても似かよっており、2年間のデザインワークとコストカット案の要素も確認できる」と“模倣”の可能性があると指摘。

 隈氏は会見で「(8万人収容のため)スタンドが3層になるのは合理的な解決策でそれはザハ案も同じ。スタンドについてザハ案はサドル型だが、私どもはフラットで環境に優しい」と説明。スタジアム上部の外周に「空の杜」と呼ぶ回廊がデザインされたのもザハ案と似ているが「外苑の森を高い場所から眺めたいという発想から得た。自然の結果だと思う」と、偶然の一致と主張した。大成建設の山内隆司会長は「ザハ案のスタンド工区の経験は生かされたか」と問われ「(当時は)いろいろ検討したが、それについて評価する立場ではない。コメントは差し控えたい」との説明にとどまった。