プロ野球楽天のドラフト1位オコエ瑠偉外野手(18=関東第一)の妹桃仁花(もにか、2年)を擁する明星学園(東京)が湯沢翔北(秋田)を破り、1回戦を突破した。兄瑠偉が観客席から見守る中、U-16(16歳以下)日本代表候補の桃仁花は16得点17リバウンド3アシストで勝利に貢献した。今大会の目標は兄の今夏甲子園の4強を超えること。幼い頃から競い合ってきた兄の存在を刺激に頂点を狙う。

 闘志に火が付く。開始直前、兄瑠偉の姿を観客席に発見。桃仁花は笑顔で手を振ると、開始の笛が鳴った瞬間にエンジン全開にした。開始9秒で先制点を奪うと止まらない。4連続シュートで8-0と、開始3分で一気に流れを引き寄せた。見守った元日本代表の中川文一監督が「運動能力が高く、感性もある」と絶賛する好プレーだった。

 小学6年からバスケットを始めると、競技こそ違うが、兄とは結果で競い合った。だからこそ「負けたくない」と、兄の甲子園4強を上回る成績をノルマに掲げる。将来も「プロに入って兄より上にいく」と、米女子プロリーグWNBA入りを夢見る。

 順風満帆だったわけではない。昨秋、練習の厳しさから退部を考えた。危機だったが、野球で頑張る兄の存在が励みになる。逃げずに椎名真一コーチ宅での下宿を決意。親任せだった洗濯や皿洗いをこなした。精神的な自立はプレーにつながる。5月にはU-16日本代表候補に選出された。今は「あのときはお子ちゃまだった」と笑って振り返ることができる。

 今夏の甲子園での兄のプレーは目に焼き付けた。準々決勝興南戦の同点で迎えた9回、左中間スタンドへの決勝2ランは忘れられない。「あきらめなかったからこそ、最後に結果が変わった」。楽天入団が決まった兄からは先月、焼き肉をごちそうになった。「(4連覇を狙う)桜花学園を止めないとだめだ」と気合を入れられると「止めます」と即答した。夏の兄に続き、冬は妹がオコエフィーバーを巻き起こす。【田口潤】

 ◆オコエ桃仁花(もにか)1999年(平11)2月7日、東京・東村山市生まれ。母早苗さんがバスケットボールをやっていた影響で小学6年から始める。東村山六中3年時は都大会準優勝、関東大会3位。50メートル走の自己ベストは7秒0。憧れの選手は米女子プロリーグWNBAスパークスのキャンデース・パーカー(米国)。趣味は音楽鑑賞で、英国のガールズグループ、リトル・ミックスのファン。好きなタレントはベッキー。180センチ、74キロ。