柔道のグランプリ大会第2日は20日、ドイツのデュッセルドルフで行われ、男子73キロ級で大野将平(24=旭化成)が優勝した。昨夏の世界選手権に続く制覇は、最大のライバルと目される世界ランク1位の安昌林(21=韓国)に準決勝で圧勝しての結果。リオデジャネイロ五輪代表入りだけでなく、金メダルへも視界良好とした。女子70キロ級では新井千鶴(22)が決勝で一本負けして準優勝だった。

 金メダルへの道筋がはっきりと見えた大野の快勝劇だった。日本男子の井上監督ら指導陣が、勢いに乗る韓国勢の旗手的存在として警戒する安。在日3世で筑波大を中退して韓国に渡った男は、担ぎ技で強豪を倒し続けて世界ランク1位に上り詰めた。「安に勝てるか」が代表選考に重要な状況で、大野が世界王者の強さを存分に発揮した。

 相手の引き手を徹底的に殺し、得意の背負い投げに十分な体勢を取らせない。逆に手詰まりとなった安の隙を見逃さず、序盤過ぎに奥襟を持っての内股で技あり奪取。以降も組み手で優位に立ち続け、完全に安を掌握した。世界ランク2位のオルジョフとの決勝でも、内股で技ありを奪い優勢勝ち。返し技に一瞬バランスを崩した場面を反省し、「ああいう場面をつくらせない技術も大事」「全ては8月。そこで勝たなければ意味がない」と笑みは控えたが、優勝は大きな意味を持つ。井上監督は代表選考でも「頭1つ2つ抜け出した状態」との評価を与えた。