バドミントン男子の桃田賢斗はリオデジャネイロ五輪のメダル有力候補。華やかな振る舞いで知られた若き日本のエースで、プロ野球が開幕した3月25日には巨人-ヤクルト戦で始球式を務めたほどだった。

 香川県出身。小学生日本一になった後、スポーツ強化に乗り出して生徒を集めていた福島県と同県富岡町によるプログラムに応募し、親元を離れて中高一貫の環境で「世界一」を目指してきた。

 元インドネシア代表のプロコーチの下でプロ精神を吸収し、派手なプレーや言動でファンを魅了する選手像を求めるようになった。アクセサリーや髪形にも気を配るのは「もし僕がバドミントンでお金持ちになれたら、憧れて後を追う子が出てくるはず」との思いからだという。

 東日本大震災が発生した2011年3月11日は武者修行先のインドネシアに滞在。第二の故郷の惨状に、心を痛めた。五輪での目標は、メダル獲得だけではなかった。「僕が勝てば世界の人が富岡を知る。活躍することは(被災地にとって)無意味じゃない」と話していた。その気持ちは今後、どこへ向かっていくのか。