快進撃が止まった。95年伊達(現クルム伊達)公子以来21年ぶり2人目の日本女子優勝を狙った世界66位の大坂なおみ(18)は、元女王で同28位のキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)に5-7、3-6のストレートで敗れた。ツアー初優勝はならなかったが、今日26日発表の最新世界ランキングでは自己最高のトップ50入りが確定。強烈な印象を植え付け、なおみ時代の到来を告げた。

 敗れても大坂への拍手は鳴りやまなかった。7413人の観衆から「なおみ~」の歓声が飛び交った。「(負けたけど)ハッピーよ。この大会は素晴らしいよ」。たどたどしい日本語でのコート上でのスピーチに観客は拍手で応えた。

 試合は、経験のなさで心が揺さぶられた。第1セットの3オールから、相手のサービスゲームを破りリード。そこで相手が左太ももの治療でタイムアウトを取った。「こういう経験があまりなかった。セット取れるとか、相手の心配とかいっぱい考えちゃった」。わずか3分の間で緊張が切れた。5オールから7ゲームを連続で落とし力尽きた。

 連戦で右肩にも違和感が出た。第1セット終了後、トレーナーからマッサージを受けた。時速200キロサーブは影を潜め、「昨年と同じ腱鞘(けんしょう)炎かもしれない」。トップレベルで5試合を戦ったのは初めて。力のすべてを出し切った。

 この大会には予選を含め過去3度出場。しかし、無名だった昨年までと違い、出場した4大大会すべてで32強入りしての凱旋(がいせん)で、ファンの心をわしづかみにした。すでにスポンサーとして数社の企業から話があり、テレビ各局からの取材依頼も殺到中。錦織圭が中心となり開催している11月恒例のチャリティーイベントにも「出てほしい」と関係者は熱いラブコールを送る。

 身長180センチ、時速200キロサーブと、強烈なインパクトを残し、規格外の18歳は「来年、またね。今度は優勝よ」と無邪気に笑った。【吉松忠弘】