女子テニスで世界47位の大坂なおみ(19)が、来年2月に日本代表デビューすることが濃厚となった。日清食品は25日、都内で大坂とともに会見し、所属契約を結んだことを発表。少なくとも20年東京五輪までサポートを受けることとなり、日米の国籍を持つ大坂が日本選手としてプレーすることが確約された。デビュー戦は来年2月のフェド杯アジアオセアニアゾーン1部となる。同社は男子の錦織圭の所属先でもある。

 ついに大坂の日本代表デビューが近づいた。日本企業との所属契約は日本選手として活動する証し。以前から「日本代表として五輪とフェド杯でプレーしたい」と語っていた夢に大きく前進した。日清食品ホールディングスの安藤宏基社長は「錦織選手と東京五輪で金メダルを取ってほしい」と、全面支援を約束した。

 大好きなヒップホップ系ではなく、この日はシックな黒のスーツを着て登壇した。緊張から何度も「ハー」と深呼吸しながら「とても光栄。カップヌードルは、小さい頃から食べていた」と英語であいさつ。安藤社長からサーブの写真がプリントされた特大カップヌードルを贈られると「中身も本物?」と笑いを誘った。

 身長180センチから繰り出す時速200キロ超えのサーブを武器に今年1月の全豪では3回戦に進出。その活躍ぶりに日米で自国代表入りを巡る争奪戦となった。米国は元トップ10の代表監督が直々に交渉するなど攻勢を強めたが、無名の13年頃からサポートを続けた日本に恩義を感じ、日本選手としてプレーしてきた。

 この契約で日米の綱引きも日本に軍配が上がった形だ。土橋登志久女子代表監督も「いい方向に向かっている」と、代表としてのプレーに期待している。現在、世界ランキングは日本人最高の40位につける土居美咲に次いで日本2番目。2月の代表選出へ障害はない。

 大坂も「来年はトップ20が目標」と、今以上の活躍を約束。錦織と同じ所属となり、報道陣から「4大大会の同時優勝は」と問われると「ハードコートが得意。だから全豪か全米かな」とにっこり。4年後の東京五輪では「金メダルのためにはトップ5入り」と、早くも世界5位以内を視野に入れた。【吉松忠弘】

 ◆大坂(おおさか)なおみ 1997年(平9)10月16日、大阪市生まれ。3歳でテニスを始め、4歳で米国に移住。16年は4大大会すべてで3回戦進出。WTAから16年の最優秀新人に選ばれた。父でコーチのレオナルドさんはハイチ出身の米国人で、母環(たまき)さんは日本人。姉まりもプロテニス選手。180センチ、69キロ。

 ◆フェド杯 63年に創設された毎年行われる女子の国・地域別対抗戦。最上位の世界グループ8カ国の下に同グループ2部8カ国があり、その下にアジアオセアニア、米国、欧州アフリカの3地域に分けたグループがある。日本は14年に世界グループ2部で戦ったのを最後に地域グループに転落した。最高成績は96年世界グループでのベスト4。フェド杯での代表回数が五輪の出場資格にも影響する。