【メルボルン(オーストラリア)14日=吉松忠弘】第1シードのマリー、4大大会歴代最多17度優勝のフェデラーより、まずは1回戦だ。16日に開幕するテニスの4大大会初戦、全豪オープンに向けて、世界5位の錦織圭(27=日清食品)が会場で会見。「死のロード」ともいわれる厳しい組み合わせにも1戦1戦の意識を強調した。1回戦は明日16日の第1試合(日本時間午前9時開始)となった。

 錦織はドローの先を決して見ようとしない。これまでは報道陣からの問いかけにも「見てません」などと、その質問をさえぎってきた。目の前の試合に集中したい錦織なりのスタイルだったが、今回だけは不可能だった。4回戦でフェデラー、準々決勝でマリーと対戦する可能性があると海外メディアから聞かれると、「先のことは考えてない」と一蹴。「1回戦からなので。2週目に残れればいいけれど」。知りたくなかった情報をもたらされ、少しはぐらかした。

 ◆WOWOW放送予定 全豪オープン。16~29日まで連日生中継。

 繊細に、1つのことに集中する強さが錦織を支えている。だからこそ、1回戦の相手については、きちんと考える。25歳のクズネツォフ(ロシア)とは過去3戦で2勝1敗。昨年は全仏、ウィンブルドンと続けて対戦し、ともにストレート勝ち。ただラリー戦も激しく「そんなにやりたい選手ではない」と警戒する。今年の大会のコートは球足が速いといい、直線的でスピードのある球を武器とする相手に優位に働く。「いろいろと気をつけないといけないところがある」。4回戦や準々決勝のことなど、まだまだ後回しだ。

 この日は、9日にメルボルン入りして、初めて選手と試合形式の練習を2回こなした。14年全米決勝で戦ったチリッチ(クロアチア)と、前週のチェンナイ・オープンを制したバウティスタ(スペイン)と汗を流した。「自然と集中力が高まる。気持ちも自然と高まっている」。「死のロード」は“眼中になし”で、初戦突破だけに集中していた。