スポーツクライミングへの興味と、期待は日増しに高まっていく。

 今季のスポーツクライミングのW杯シリーズ開幕を告げるボルダリングW杯スイス大会では、藤井快(東京都連盟)が今季初優勝を飾り、渡部桂太(三重県連盟)も3位、女子も野中生萌(東京都連盟)が3位と、男女で計3選手が表彰台に上り、順調なスタートを切った。

 東京五輪での実施が決まり、今後競技人口の増加が期待されるスポーツクライミングを、もっと深く知ろうと、NHKアナウンサーを含めた同局の職員約20人が、都内のボルダリングジムで勉強会を開催した。冒頭で山口達也アナウンス室副部長(53)は「競技を知るため、そして東京五輪への機運を高めるための勉強会です」とあいさつし、座学と実技で約2時間、参加者は体を動かしながらボルダリングの楽しさと難しさに触れた。

 スポーツクライミングはリード、ボルダリング、スピードの3種目からなる。今回はクライミングの基礎が詰まっているボルダリングを選び、初級クラスのルートを、きちんとオブザベーション(下見)もしながら実践した。中でも、アナウンサーは今後実況するケースも出てくることから、日本山岳・スポーツクライミング協会の森下競技部長に熱心に質問しながら理解度を深めて行った。

 サタデースポーツ、サンデースポーツのキャスターを務める杉浦友紀、酒匂飛翔(さこう・あすか)の両アナウンサーも参加した。両アナウンサーを含め、出席者は非常に積極的で、制限時間の中で闘志をむき出しに人工壁に挑み、失敗しては爆笑、成功しては拍手と活気にあふれていた。

 果敢にルートに挑んだ杉浦アナウンサーは、勉強会の後に目を輝かせながら「子供のころに住んでいたオーストラリアではクライミングは盛んでした。誕生パーティーでロッククライミングをする習わしで、私も小、中学生のころはやっていました。でも、でも、今日はこんなにも出来ないかと感じました。ホールドが遠いなと感じましたし、肩甲骨やお尻の筋肉が、とてもつらかったです。実際の大会ではもっと難しいルートになるでしょうし、ジャンプ(ランジ)したり、かなり難しいと思います。そしてエンターテインメント性もとても高いスポーツというイメージです」と、自身の経験を踏まえながら楽しそうに勉強会を振り返った。また、酒匂アナウンサーは「衰えを痛感しました。ホールドを持って痛い、動きもつらい。こんな経験ははじめてです」と、こちらも日ごろの運動不足を感じていた。

 スポーツクライミングの専門用語や基本的なルール、そして競技の難しさ、ポイントとなる場面の把握など、中継を念頭に置いたプロたちは森下競技部長に次々と質問を投げかけ、2時間の勉強会は熱気のうちに幕を閉じた。