長崎市の田上富久市長は15日、市議会の各派代表者会議で、広島市との共同開催で目指していた2020年夏季五輪の招致を断念すると表明した。また「広島市が単独開催に名乗りを上げれば全面的に協力していきたい」と述べた。秋葉忠利広島市長には14日に電話で断念の意向を伝えたという。

 秋葉市長は「これから先の展望を開くための判断であり、前向きに受け止めたい。20年五輪開催という夢のため、引き続き力を合わせて取り組みたい」とのコメントを発表、広島市として単独で招致活動を継続する考えを示した。

 田上市長は断念の理由を「1国1都市開催という五輪憲章が変わらない中、これ以上共催の可能性を追うことは20年に被爆地で五輪を開催する可能性をかえって狭めることになる」と説明。長崎市の単独開催は困難と述べた上で、広島市で開催した場合に一部の競技に限って長崎市で開催することは「1つの可能性だ」とした。

 田上、秋葉両市長は12日、IOC前副会長の猪谷千春IOC委員と東京都内で面会したが、五輪憲章をクリアするため広島市が単独立候補して愛称を「広島・長崎オリンピック」とする“実質的共催”でも、招致は難しいとの認識を伝えられていた。

 両市は20年までの核廃絶の機運を盛り上げるため、昨年10月に招致検討委員会を設置していた。