<世界体操>◇5日目◇11日◇東京体育館

 8日の女子団体予選の跳馬で飯塚が負傷した直後、日本女子代表のアリーナ・ゴジッチ・コーチ(23)は、金髪をなびかせ走り回った。「すぐ話さないと。準備運動終わるね」。練習時間3分。選手を交代するには、その時間が最終リミットだ。ゴジッチは審判と大会技術委員長に交代用紙を提出。冷静な素早い判断に、塚原監督も「あれがなかったら、決勝はなかった」と感謝した。

 ウクライナ生まれで04年欧州女王。09年に引退し、10年1月に日本にやってきた。床の振り付けができるコーチを探していた塚原監督に、09年8月に代表コーチとなったバツラー(42)氏が紹介した。「日本選手は話をきちんと聞く。いつも上手」。片言の日本語で、選手にも指示を出す。

 今大会で、新竹と美濃部の床の振り付けも担当。現在は、バツラー氏とともに、味の素トレセンに住む。「うどんが好き」。日本酒は飲めないがビール好き。トレセンのある「赤羽は全部知っているよ」。

 バツラー氏も、日本選手からの信頼が厚い。予選3種目目の時点で、日本の五輪出場は微妙だった。しかし、バツラー氏は塚原監督に「大丈夫ですよ」。最後の段違い平行棒。選手が着地を決める度に、バツラー氏はガッツポーズを連発した。

 代表のトレーナーは、中国人の付鴻飛氏。「いい人がいたら、その力を借りるのは普通」という塚原監督の方針の下、集まった“助っ人”外国人コーチが、日本を五輪に導いた。