<レスリング:世界選手権>◇11日◇タシケント

 女子53キロ級で吉田沙保里(ALSOK)が決勝でソフィア・マットソン(スウェーデン)に快勝し、連覇を12に伸ばした。五輪3連覇と合わせ、15大会連続で世界一に輝いた。

 レスリングの師でもあった父栄勝さんがくも膜下出血で急逝してちょうど半年となる11日。吉田沙保里選手(31=ALSOK)がタシケントで世界選手権女子53キロ級に出場し、五輪3連覇と合わせた15大会連続の世界一に輝いた。「父に優勝を報告したかった」と変わらぬ強さに胸を張った。

 2016年リオデジャネイロ五輪で実施される階級に合わせ、これまでよりも体重を2キロ落として臨んだ。初戦から動きは素早く、準決勝では幼少からたたき込まれたタックルを豪快に決めてフォール勝ち。決勝も危なげなく挑戦者を退けた。

 会場で観戦した母幸代さん(59)は「お父さんの月命日での試合は不思議なこと」と話し、時折手を合わせながら「頑張れー、集中」と声援。世界一となって手を振る娘に、拍手を送った。

 セコンドとして五輪3連覇など偉業を見守った父はいないが、吉田選手は毎試合マットに上がる前に遺影を握った。「行ってくるよ」と声をかけ、決勝前には「見ててね」と心の中で父に語りかけて闘いに向かった。その遺影を持って表彰台に上がり、名前を呼ばれると誇らしげに掲げた。