陸上の世界選手権(ベルリン)男子やり投げで、日本人初の銅メダルを獲得した、村上幸史(29=スズキ)と、女子同種目で初出場した海老原有希(23=スズキ)が、静岡・浜松市のスズキ本社で報告会に臨んだ。同会場には、鈴木修会長(79)と、約500人の社員らが集まる中、凱旋(がいせん)帰国。記念のタオルが作られるなど、同僚の活躍に大きな拍手が送られた。

 やり投げ競技では、国内初となるメダリストに、惜しみない拍手が送られた。約500人のスズキ社員らが迎える中、村上は首から銅メダルを下げて凱旋(がいせん)入場。会場では、社員がデザインした村上の似顔絵が描かれた記念タオルが配られるなど盛り上がりを見せた。鈴木会長からは「本当によくやってくれた。投げやりにならずに、やり投げで地道に頑張った。ボーナスは1億円くらいですかね!?」とジョークまで飛び出し、さらに、会場を盛り上げた。

 笑顔が絶えなかった。村上は、会場に訪れた社員らに「皆さんの温かい声援があったからこそ、いい結果を出すことができました。ありがとうございました」と謝意を示した。社員からの「試合前の験担ぎなど、何かやっていることはあるんですか」という質問に、「アップが終わったら靴下を履きかえるようにしています」と、マル秘エピソードを告白。和やかな雰囲気の中、喜びを分かち合っていた。

 「村上フィーバー」は止まらない。9月8日まで、約30件以上の取材が組まれるなど、過密日程をこなさなければならない。それでも、すでにスーパー陸上(9月23日開幕、神奈川・等々力陸上競技場)の出場が決まっている村上は「今回は『取れたメダル』。次は自分で取れるように頑張りたい。おごることなく、感謝の気持ちをもってやりたいです」と決意を新たにした。日本人で初めてメダルを獲得した村上が、声援を力に変えて、さらなる高みを目指す。【神谷亮磨】