<体操:世界選手権>◇最終日◇18日◇ロンドン

 世界選手権初出場で個人総合4位の田中和仁(24=徳洲会)が、男子種目別平行棒で銅メダルに輝いた。王冠寅、馮喆の中国勢には及ばなかったが、確実な演技で15・500点を出し、今大会で日本勢4個目のメダルを獲得した。種目別鉄棒で内村航平(20)は6位だった。女子個人総合銅メダルの鶴見虹子(17)は、種目別平均台で6位に終わり、段違い平行棒の銀に続く3個目のメダルはならなかった。

 田中は、最後の後方屈伸2回宙返り下りで着地をぴたりと決めると、思わず両手をたたいた。「(内村)航平も(鶴見)虹子ちゃんもメダルを取っていたので、いい流れに乗りたかった」。予選3位の演技を再現し、銅メダルを獲得した。

 個人総合では、わずか0・100点差で表彰台を逃した。スタートのあん馬で2度の落下。最下位から、残り5種目で驚異の追い上げを見せたが、あと1歩届かなかった。「個人総合で逃していた分、種目別でどうしても取りたかった」。メダルへの最後のチャンスを、平行棒でしっかりとものにした。

 世界王者となった内村もあこがれる美しい体操が魅力だ。この日も、足の先までピンと伸びた体の線の美しさで、演技の質を現す実施点は9・100点でトップ。内村でさえ「和仁さんの演技を見ていると、とてもまねできないと思う」と絶賛する。

 今年6月の代表最終選考会初日に、妹の理恵が2位につけ、日本体操界初の兄妹同時代表誕生が期待された。結局、妹は2日目に6位と崩れて代表を逃しただけに、田中は「妹の分まで頑張りたい」と約束。両親、兄弟全員が体操をする体操一家に、初めてのメダリストが誕生した。