<ラグビーW杯:日本7-83ニュージーランド>◇16日◇1次リーグA組◇ハミルトン

 【ハミルトン(ニュージーランド)=益子浩一】日本が屈辱的な大敗を喫した。開催国ニュージーランドに13トライを許し、今大会最多失点となる7-83の敗戦。ジョン・カーワン・ヘッドコーチ(46)は、目標のW杯2勝を達成するため残り2戦に向け主力を温存。ミスも連発し、世界ランク1位に手も足も出なかった。2戦2敗で1次リーグ突破は絶望的。2019年にW杯開催が決まっている日本ラグビー界にとっては、不名誉な1日になった。

 もちろん満足感などない。だが、悔しそうでもなかった。カーワンHCは、感情をなくしたかのように淡々と会見に臨んだ。現役時代、並々ならぬ勝利への執着心を持っていたニュージーランドの英雄は、母国との対戦を前に感情を消してしまったのか。ある意味で「想定内」の敗戦だった。

 「(W杯の)最後の試合を終えた時に、私たちはジャッジ(判断)されるべきだ。次が大切。2勝を目標にしてきた。(残り試合の)トンガ、カナダに対してビッグチャレンジをする。明日になったら、この試合のことは白紙に戻そう」

 世界1位に勝ち目はない-。現実を直視し、残り2戦にかけた。善戦したフランス戦(10日)から先発10人を交代し、はなから勝利を捨てた。タックルミスは相手の8に対し日本は22。「スキ」どころか「穴」だらけだった。何でもないバックスの展開から1発で抜かれ、前半36分にはノーホイッスルトライまで奪われた。真っ向勝負を挑んで玉砕したなら、まだ多少の充実感はあっただろう。だが「2軍」で大敗しては、後味の悪さしか残らない。95年大会の17-145の記録的大敗から16年。点差は縮まっても屈辱感は一緒だ。

 19年には日本でW杯が開催される。この日、超満員の会場は、サーカスのようなパスと走りで点数を重ねるオールブラックスに拍手喝采が起きた。だが日本のプレーで沸いたのは皆無。8年後までに、この差は埋まるのか。カーワンHCは、あえて収穫も口にした。

 「リーチ、谷口、宇薄、日和佐。若手がいい経験をした。学んだことは多い」

 フランス戦の健闘が、忘れ去られてしまうような大敗だ。数字上の可能性はあっても、2戦2敗で1次リーグ突破は絶望的。さらに91年大会でジンバブエに勝って以来、16戦未勝利のW杯ワースト記録も更新。仮に残り2戦で2勝しても、その先に日本に歓喜はあるのだろうか-。