【上海(中国)10月31日=阿部健吾】真央が「逆風発進」を乗り越える。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯は2日から上海で開催される。GP初戦となる浅田真央(22=中京大)はこの日、関西空港から上海・浦東空港に到着した。

 尖閣諸島国有化の影響で反日感情が高まる中国での試合に、日本スケート連盟は警備員を用意。日本から選手に同行させる徹底ぶりで、2人が地元ファンから贈り物を受け取る間も、男女3人が囲んでガードした。全員が格闘技経験者で、1人はキックボクシング歴20年以上。大会を通じて5人態勢で選手を守るという。浅田も「安心です。いつもと違うけど、変わらないです」と笑顔をみせた。

 在留邦人が5万人以上いる上海でも、緊張ムードは続いている。日本からの渡航者も激減中で、中国杯の観戦ツアーも打撃を受けた。旅行会社ラウンドトリップ社では昨年の約40人から今年はゼロ。最大手のHIS(エイチ・アイ・エス)なども、ツアー客の減少を余儀なくされている。

 会場内外で、従来と異なる状況での試合になるが、浅田自身は「やることをやって本番に集中するだけ」と不安はなさそう。外食なども控える予定だが「選手のところで食べます」。最後は「上海ガニは食べたいです」と弾んだ声で滞在するホテルの食堂へ向かった。