<フィギュアスケート:4大陸選手権>◇第2日◇9日◇大阪市中央体育館

 えっ、王子フェースから流血!?

 羽生結弦(18=東北高)が、SP1位からのフリーでジャンプに失敗して158・73点で合計246・38の2位に沈んだ。ホテルを出発する際に自動ドアに衝突して右目上から流血。ばんそうこうを張って演技に臨んだが、ケビン・レイノルズ(22=カナダ)に逆転された。それでも「これが(3月の)世界選手権じゃなくてよかった」と巻き返しを誓った。高橋大輔(26=関大大学院)は合計222・77点の7位に終わった。

 羽生の右目上には、肌色のばんそうこうが張られていた。ジャンプで失敗したフリー。苦笑いする端正な顔に、汗ではがれかけた長方形テープがくっついていた。痛々しい姿の理由を、自ら説明した。

 羽生

 いやあ、ホテルを出る時に自動ドアでぶつけました。ファンの方と握手をしていたんですが…。血がダラーッと出ました。(演技中は)貧血だったのかなあ。まあ、それはないか。

 ファンを大切にする18歳だからこそのアクシデント。優勝を逃した悔しさを冗談交じりで振り返った。

 流血にもめげず、クールな表情で演技に臨んだ。冒頭の4回転トーループは成功したが「ちょっと早く決まりすぎた」。わずかにずれた音楽との差が続く4回転サルコーに影響した。2回転に終わって「跳んでいる最中にやっちゃったと思った」。その後はジャンプに安定性を欠いて失速した。「試合って難しい。フォーカスしたサルコーを外したのは悔しい。サルコーが抜けて集中力が切れた。響いてしまったかなと思う」。

 SP1位は勝ちパターンだったが、思わぬ落とし穴?

 もあって、レイノルズに優勝をさらわれた。試合後はオーサー・コーチに「僕たちが合わせているのは次の大会」と確認し合った。「調子がよかったがゆえに、こういう演技が悔しい。世界選手権じゃなくてよかった」と羽生。王子フェースについた傷が浅かったことと同様に、世界選手権本番でなかったことが救いだ。【益田一弘】