<テニス:ウインブルドン選手権>◇第8日◇1日◇ロンドン・オールイングランド・クラブ◇男子シングルス4回戦

 世界12位の錦織圭(24=日清食品)が、聖地で8強入りを逃した。同9位のラオニッチ(カナダ)に6-4、1-6、6-7、3-6で敗れ、戦後では95年の松岡修造以来、日本男子大会史上2人目のベスト8進出はならなかった。4大大会通算勝利も31勝で、佐藤次郎の持つ最多勝にあと1勝足りなかった。

 勝負への執念で、錦織が敗れた。好リターンを連発しても、屈することなくサーブを打ち込むラオニッチの前に、さすがの錦織も4セットで力尽きた。最後は相手のボレーが、3番コートの芝の上を駆け抜け、今年の聖地の挑戦は16強で幕を閉じた。

 第1セットを奪ったが、第2セットの判定が流れを変えた。第2ゲームの30オール。ラオニッチのバックがアウトのジャッジが、ビデオ判定で覆った。やり直しにならず、そのまま相手のポイントで、錦織はそのままゲームを失った。そこで相手が息を吹き返した。

 ラオニッチは、今大会、3試合で1度のサービスゲームも落としていなかった。その相手に、第1ゲームでサービスゲームをいきなり破った。好ダッシュに見えたが、最後までラオニッチのサーブは衰えず。35本のエースを食らい、錦織は沈んだ。

 3回戦では、3日がかりの死闘を制した。大会は中日の日曜が休養日。28日の土曜に日没順延となり、29日の中日を挟み、30日に再開。約42時間も集中力を持続するのは「初めての経験。精神的に本当に疲れた」。しかし、3、4回戦が連戦になり、気持ちを切り替える余裕もなかった。

 敗れたが、2年連続3回戦敗退の壁は、今年の16強入りで乗り越えた。「やっと壁を破ることが出来た」。6月9日に始まった前哨戦のドイツ・ハレ大会から4週間目。芝生での試合も十分にこなせ「戦っていける自信がついた」。心配された左股関節やふくらはぎの痛みも再発していない。

 02年、松江市立乃木小の卒業文集に「ぼくの夢」を書いた。「夢は世界チャンピオンになることです」。テニス界の世界チャンピオンは、聖地での優勝にほかならない。今年は夢は成就しなかったが、また1歩、間違いなく夢の実現に向け歩み出した。【吉松忠弘】