<大相撲夏場所>◇千秋楽◇23日◇両国国技館

 横綱白鵬(25=宮城野)が、またひとつ歴史に名を刻んだ。突き合いになった大関日馬富士(26)を得意の右四つに組み止めてから寄り切り。初場所14日目からの連勝を「32」に伸ばし、歴代5位となる通算6度目の全勝優勝を決めた。春場所に続く2場所連続15戦全勝は、04年春場所の朝青龍以来史上6人目。同じ立浪一門の大関魁皇(37)が通算1000勝をマークした直後の土俵で、しっかりと横綱相撲で締めた。

 無敵の横綱は「口」でもうならせた。表彰式最中に行われた優勝力士インタビュー。満面の笑みを浮かべた白鵬は「みなさんに謝りたいことがありまして…」と切り出した。「優勝がちょっと早く決まりまして、スミマセンでした」。自身2度目の13日目V。14日目からは元横綱輪島の「黄金まわし」で盛り上げた横綱は、突然の「謝罪」で国技館のファンを笑わせた。

 最後まで強かった。対したのはかつて3連敗し、昇進後も10勝7敗(本割のみ)の日馬富士。うるさい相手を右からかち上げ、徹底して突いた。右を差して低く組み合い、得意の左上手をつかむ。じわりと前に出ると、最後は寄り切った軽量大関を土俵下まで投げ捨てた。直前に、同じ立浪一門で入門時からあこがれだった魁皇が通算1000勝。「素晴らしい。言うことないよ」と刺激を受けた。

 これで初場所14日目から32連勝。自己最長に王手をかけ「自分の33ですか。それを超えたいというのはありますね」と意欲を見せた。全勝Vは先輩横綱の朝青龍を超える6度目。さらに2場所連続での15戦全勝は、双葉山、大鵬、千代の富士、貴乃花、朝青龍に肩を並べた。「まずは平成の大横綱、貴乃花関(22度)に並びたい。そのあとは昭和の大横綱、大鵬関(32度)ですね」とVへ思いを明かした。

 14日目夜は輪島氏と会食し、優勝と「黄金まわし」の報告をした。「うれしいよ~って言ってましたね。新しい気持ちになりましたし、自分の相撲を取ることに精進したい。結果はあとからついてきますから」。今場所の獲得懸賞は367本。史上最多だった先場所の404本に次ぐ歴代2位の多さだ。06年夏場所の初優勝から4年。名実とも充実期を迎えた白鵬に、落とし穴はなさそうだ。【近間康隆】

 白鵬の紗代子夫人(26)

 先場所終わって「東京場所でなぜ優勝できないのか」と、生活面から見直していました。内容は秘密ですけど、場所中も早ければ7時には帰ってきてました。黄金まわしは昨日、テレビ見てビックリしました。もうちょっと落ち着いた金色だと思っていたので(笑い)。6月にモンゴルに(ちびっこ相撲「白鵬杯」開催で)帰ると言われまして…。新婚旅行に行く準備をしていたのですが、いつになるか分かりませんね。